令和4年度は私立高等学校等授業料軽減助成金は受給できるはず (頑張った)

 2022年度が始まって長女が高校に進学し、国の高等学校等就学支援金制度東京都の私立高等学校等授業料軽減助成金、いわゆる高校無償化の案内をもらってきました。2021年度の確定申告も完了したので、簡単に状況をまとめてみたいと思います。

2021年度の確定申告状況

 前のエントリでかなり微妙なライン、と書いた2021年度の収入状況ですが、この制度特に東京都の支援制度の条件を満たすべく、例年にも増して確定申告には大真面目に取り組みました。具体的には、今年度初めて計上することになった医療費を全力で (でも適正に) 積みました。

 まず、源泉徴収票配布前の時点では以下のように見込んでいましたが、

さて、前述の通り一定の誤差を見込んだ上で計算したところ、管理人の総所得額は804.4万円となりました。

 実際に配布された源泉徴収票を確認したところ、総所得額は約807万円でした。個人的にはなかなかの精度だと思いますが、2.6万円ほど上振れしてしまいました。前のエントリではさらに、

これに基づいて支給の基準となる数字を計算すると、以下の通りになりました。

(8,044,000 – 2,899,760) ×0.06 – 1,500 = 307,154

基準額が304,200円なので、ギリギリアウトです。

 上記のように見積りましたが、上振れしてしまったことからもわかるように要するにアウトです。出てきた額で自分の基準額を計算しなおすと、(8,070,856 – 2,899,160) ×0.06 – 1,500 = 308,801 となり、このままでは国からも東京都からも一円も受給できません。

計算式を見ればわかりますが、課税標準額が1万円減ると、計算結果が600円 (6%) 減ります。307,154 – 304,200 = 2,954円なので、2,954 ÷ 6 ×100 ≒ 49,233円 課税標準額が減少すれば、基準を満たせることになります。

 この時点での基準との差分は 308,801 – 304,200 = 4,601円なので、4,601 ÷ 6 x 100 ≒ 76,683円 だけ課税標準額が減少すれば、基準を満たせるということになります。

医療費を全力で積んでみる

 前のエントリに住民税での控除対象となる全項目を載せてありますが、基本的に確定申告の申請対象となるのは医療費しかありません。というか、源泉徴収票には医療費控除は一切考慮されないため、控除対象となる医療費がある場合は、確定申告で申請して控除するしかないというのが実情です。

 管理人は今回初めて医療費の控除を申請したのですが、以下のようにして数字を出しました。制度は時々変わるものの大きく変わることはまれであるため、次年度以降に申請する方の参考になると思います。

医療費自体は控除対象

 改めて書くまでもありませんが、窓口で支払った医療費は控除対象となります。ただし、後日医療保険などから費用が充当された金額は除外する必要があります。今回の管理人のように主に歯科での費用を計上する場合はあまり考える必要はありませんが、大病や大ケガによる入院、あるいはその利用や通院に関わる費用を計上する場合は注意が必要です。

 なお、世田谷区の場合、中学卒業の子供の医療費は子ども医療費助成制度により原則無料になります。どれだけ医療費が発生しようと、控除対象となるのはあくまで窓口で支払った金額ベースになるので、こちらも注意が必要です。

交通費も控除対象

 これについては、国税庁の該当項目にちゃんと記載されています。

(1) 医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの

法第73条《医療費控除》関係

 例えば交通公共機関を利用して医師の診察を受けに行った場合は、これも医療費として計上できます。なお、私が確認した限りでは明確に書かれているものはありませんでしたが、子ども医療費助成制度によって支払いが発生しなかったものについても、その交通費は計上できると思います。これは助成制度が適用された結果として窓口の支払いが発生しなかっただけで、受けている診察行為自体は本来医療控除の対象であるはずだからです。

 なお、私の親は高齢で一人暮らしをしていて、その付き添いで病院に何回か付き添って行ったことがありましたが、これは費用に計上しませんでした。生計を一にしている = 別居していても仕送りなどで自分が生活を支えている親族であれば医療費控除の対象となるようですが、別生計である場合は、たとえ自分の親であったとしても対象とならないようです。

73-1 法第73条第1項に規定する「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし、かつ、親族である者に係る医療費をいう。

法第73条《医療費控除》関係

風邪薬なども控除対象

 処方箋なしで購入することができる一般的な風邪薬などについても、医療費控除の対象となります。これは管理人もギリギリまで勘違いしていたのですが、国税庁のページにちゃんと書かれていました。

 医薬品の購入費用は、治療や療養に必要なものであって、かつ、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額であれば、医療費控除の対象となります(所得税法施行令第207条)。
 したがって、かぜの治療のために使用した一般的な医薬品の購入費用は、医師の処方や指示がなくても、医療費控除の対象となります

(注) 「医薬品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第1項《医薬品の定義》に規定する医薬品をいいますが(所得税基本通達73-5)、医師の処方や指示があれば全ての医薬品が医療費控除の対象となる医薬品に該当するとは限らないことに注意してください。

かぜ薬の購入費用

 (注)にある通り、対象となるのは”…法律第2条第1項《医薬品の定義》に規定する医薬品” です。それではこれが何かというと、以下のように書かれています。

第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

 日本薬局方に収められている物

 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)

 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 これだけではまったく要領を得ませんが、こちらのページによくまとまっているので、こちらを参照するといいと思います。このページには “つまり、(一般医薬品は) 薬剤師や医薬品登録販売者などが常駐していないコンビニエンスストアなどでは販売が出来ない、ということになります。” と書かれていますが、平成26年にインターネットなどでも販売可能とする法改正が行われているので、たとえばマツキヨやココカラファインなどのオンライン店舗で購入したものも対象となることになります。管理人は頭痛持ちで、最悪の時は嘔吐に至ることがあるため (一度海外出張先でなって大変な目にあったことがある)、常に自宅には頭痛薬を常備しています。大した費用ではありませんが、これも医療費として計上しました。

 なお、セルフメディケーション税制というとても紛らわしい制度があるので注意が必要です。この税制は、一言で言えば通常の医療費控除の閾値 (年収200万円以上の人の場合10万円以上) に満たなくても、1.2万円以上対象製品を購入していれば特別に控除対象とするという制度で、通常の医療費控除との併用はできないとされています。前述の通り、一般医薬品の費用は医療費控除の対象となるため、医療費控除の対象となる支払額が10万円を超える場合は、医療費控除の中に対象商品の費用を含めればいいということになります。

 セルフメディケーション税制の対象商品を年1,2万円以上 = 月1,000円以上購入するというハードルはなかなか高いものの、対象商品をそれなりに利用している場合は医療費控除ではなくセルフメディケーション税制で申請した場合が控除額が増える場合もあるようです。管理人は数千円レベルでありそもそも対象外なので、迷わず医療費控除に含めることとしました。

最終的な数字

 実際に窓口で支払った医療費 + 医療費が発生した医療行為 (子ども医療費助成制度で支払いがなかったものは含む) に関わる交通費 + 一般医薬品の購入費をすべて積み上げた結果、約17.9万円になりました。控除対象はここから10万円を差し引いた7.9万円となり、これを確定申告で申告しました。

 この数字をもとに高校無償化の基準額を計算してみると、以下の通りとなります。東京都の住民税の通知書の項目名を利用しています。

住民税の決定通知書の項目名金額備考 (源泉徴収票の対応項目)
所得 – 給与収入\10,170,856“支払金額”
所得 – 給与所得
(所得金額調整控除後)
\8,070,856“給与所得控除後の金額”
総所得金額①\8,070,856同上
所得控除 – 医療費\79,003源泉徴収票には該当項目なし
所得控除 – 社会保険料\1,476,463“社会保険料等の金額”
下段 (合算値) – 上段 (内)
所得控除 – 小規模企業共済\149,144“社会保険料等の金額” 上段(内)
所得控除 – 生命保険料\63,000旧制度 + 新制度の上限
(3.5万円 + 2.5万円)
所得控除 – 地震保険料\553“地震保険料の控除額” x 1/2
家財だけなので安い
所得控除 – 配偶者\330,000“配偶者(特別)控除の額”
所得税は38万円、住民税は33万円
所得控除 – 扶養\450,000(数字はなく以下にチェックが入る)
“控除対象扶養親族の数” – 特定 : 1
所得税は63万円、住民税は45万円
所得控除 – 基礎\430,000源泉徴収票に数字はない
所得税は48万円、住民税は43万円
所得控除 – 所得控除合計②\2,978,163所得控除 – 医療費~基礎の合計
課税標準 – 総所得③\5,092,000① – ② (千円未満切り捨て)

 課税標準所得額が出ました。基準値はこの値の 6% – 区市町村民税調整控除相当額 = 1,500円になるので、最終的な数値は \5,092,000 x 0.06 – \1,500 = \304,020 となりました (なるはずです)。国 / 東京都が定める受給基準額は 304,200円未満なので、ギリギリセーフになりました。

 なお、最後に減算する区市町村民税調整控除相当額は、居住地が政令指定都市の場合3/4を乗じた金額になるので、ギリギリな方は注意が必要です。ちなみに東京都は政令指定都市ではないため片働き世帯が1,500円、共働き世帯が3,000円で固定となります。

 この計算通りであれば、少なくとも今年度は国と東京都の両方から受給できるはずです。今年高校に進学した長女と現在大学生の長男がいる上に、今年から長男の国民年金の支払いが始まるので、正直とてもありがたいです (ここまでやって対象外だったら気絶モノですが…)。住民税の決定通知が出ないと確かなことは言えないので、出たらまた書くと思います。

余談 : 早生まれについての改善

 現在大学生の長男が高校生だった時、本人が早生まれであったため高校二年生の申請時に対象にならないという悲劇に遭いました。この点については改善が行われ、高校2年生で申請を行う際に、対象者が早生まれであった場合は、所得金額から33万円を減じて計算するように法律改正が行われたとのことです。対象人数は8,000人と、決して少なくない数字なのでこれはとても素晴らしいことだと思います。こちらで実際の国会での答弁内容を確認できますが、

“…おっしゃるとおりで、1月から3月に生まれたお子さんだけが、結果的に所得制限枠にあったとしてもその対象にならないというのは、これはもう極めて気の毒な話でありますので…”

 気の毒という一言で済ませないでもらいたいと心の底から思いますが、今後自分と同じ目に遭う人がいなくなるということは素直に喜びたいと思います。

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