令和4年度は私立高等学校等授業料軽減助成金は受給できるのか

時が流れるのは早いもので、長女が来年高校に進学する年になりました。長男の時は結果として最後の1年しか受給できなかった私立高等学校等授業料軽減助成金ですが、果たして来年の7月頃に申請受付が始まる令和4年度は受給できるのでしょうか?頑張って自分で計算してみました。

制度の概要

このページを見ている人であれば、制度自体についてはある程度情報収集が完了していると思うので、その部分は割愛します。管理人の条件 (両親のうち一方が働いている、特定扶養控除対象者が1名、扶養控除対象者が1名、年収額面900万円+) を踏まえて関係があるボーダーラインについて超簡単に書くと、以下のようになっています。大きく分けて、国の補助と都の補助の2つがあります。

  • 国の補助 (就学支援金)
    1. 市町村民税所得割の課税標準額 × 6% – 市町村民税の調整控除の額が304,200円未満の場合、基準額 (118,800円) が支給される
    2. 154,500円未満の場合は、”私立高校授業料の実質無償化に対応した支給 (最大396,000円) “が行われるが、こちらは管理人の条件だと年収の目安が額面で650万円なので、ここでは考えない。
  • 都の補助 (私立高等学校等授業料軽減助成金)
    • 国の補助に上乗せする形で支給が行われる。
      • 上記の1.に該当する場合、都が348,200円が上乗せして最大467,000円の支給となる。
      • 上記の2.に該当する場合、都が7.1万円を上乗せして最大467,000円の支給となる。

要するに、東京都に限って言えば、国が定める資格を満たせば467,000円の給付を受けることができるわけです。年収によって国と都の負担分は変わりますが、国の資格を満たす限り合計額は同じようになるように制度設計されています。

その一方で、基準を満たさない = 市町村民税所得割の課税標準額 × 6% – 市町村民税の調整控除の額が304,200円を超えた瞬間に、支給額が0円になります。正直、これはちょっとひどいと思うのですが、決まりなので仕方ありません。給与収入でこの金額を上積みしようと思ったら、いったい何時間残業する必要があるのか…

過去の経験から、管理人は来年度の申請は (= 今年度の状況が基準を満たすか) かなり微妙そうだと直感したので、手遅れになる前にまじめに計算してみることにしました。

確認に必要なもの

あたりまえですが、現時点 (2021年12月末) の時点では、当該年度の市町村民税所得割の課税標準額、あるいは市町村民税の調整控除の額が掲載された住民税課税・非課税証明書は存在しません。しかし、1年分の給与明細が揃っていればそれなりに高い精度で計算することは可能です。参考のため、前年度の住民税課税・非課税証明書を準備してください。

市町村民税所得割の課税標準額の計算

住民税課税・非課税証明書の裏側に書いてあります。時々計算方法が変わることがありますが、私が調べた限りでは令和3年度→令和4年度での変更はないようでした。管理人の手元の通知 (世田谷区) には、以下のように書かれています。

総所得額① – 所得控除合計② = 課税総所得額③

給与所得等に係る特別区民税・都民税 特別徴収税額通知書 (納税義務者用)

給与所得しかない場合、課税総所得額 = 課税標準額になるので、この情報を利用して計算を行ってゆきます。なお、FXや株などで収益があった場合は、利益分に所定の税率を掛けた数字がここに加算されるので注意してください。

所得控除合計の計算

所得控除合計②を計算するのはさほど難しくありません。私の手元の通知の場合、所得控除以下で構成されており、これらを単純に合算した金額が所得控除合計となります。

控除科目概要 (= 管理人の理解)
雑損災害などの損失額がある場合
医療費窓口で支払った医療費の10万円を超える部分
社会保険料健康保険料 + 介護保険料 + 厚生年金保険料 + 雇用保険料の総額
小規模企業共済確定拠出型年金のマッチング拠出の合計額
生命保険料掛け金や保険自体の変更がなければ、前年と同額のはず
地震保険料同上
障・寡・ひ・勤条件 (障害 / 寡婦 / ひとり親 / 勤労学生) を満たす扶養家族がいる場合
配偶者専業主婦 (収入~48万円) なら33万円
配偶者特別扶養控除の範囲内で収入がある (48~130万円) 人はこちら
扶養扶養親族のうち、その年12月31日現在16歳以上の人の数 × 33万円
その年12月31日現在19歳以上23歳未満の人の数 × 45万円
基礎サラリーマン全員に無条件適用(≒みなし必要経費)、43万円

ゼロから計算しようとするとなかなかに大変ですが、昨年度分の通知があれば流用できる部分も多いので、比較的簡単に正確な値が計算できます。

なお、対象者本人 (来年高校生になる現在の中学3年生)は、高校1年生の時点では扶養対象に入りません。 たとえば2006年7月生まれで2021年12月末時点で15歳の中学3年生が、上記の扶養要件を満たさないのは見てわかると思います (申請時に利用されるのは、前年度の年収ベースの数字)。ちなみに、”12月31日現在”というのが曲者で、早生まれかそうでないかで次年度に大きな差が出ます。対象本人が高校2年生の夏に申請をしようとした場合、

  • 2006/4/2~2006/12/31生まれの場合 : 12月31日時点で16歳なので、扶養対象となる
  • 2007/1/1~2007/4/1生まれの場合 : 12月31日時点で15歳なので、扶養対象とならない

たとえば年収や家族構成などが全く同一の家庭でも、本人が早生まれか否かで、支給額が46.7万円の家庭と0円の家庭が生まれるということになります (長男の時の悔しい例)。大雑把に言って全体の1/4は早生まれなわけなのですから、これは何とかしてもらいたいですね….

総所得額の計算

管理人の場合、いくらやっても正しい値が算出できなかったのが総所得額①です。とりあえず昨年度の数字を見て計算方法を確認しようとして、昨年度 (令和3年度) の源泉徴収票と給与明細を突き合せたのですが、いくらやっても計算が合わなかったのです。原理的には、(給与明細の総支払額 – 非課税分 (通勤費など)) – 給与控除 – 所得控除調整額を引けば算出できるはずなのですが…

給与控除は、(給与明細の総支払額 – 非課税分 (通勤費など))が850万円を超えると195万円で固定されるので、それ以上は収入が増えるとリニアにかかる税金も増えてゆくことになります。また、所得控除調整額は {給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%計算できるのですが、見ての通りこちらの頭打ちは1,000万円となっています。

おそらくですが、計算が合わなかったのは非課税分の合算がうまくできていないためで、たとえばリモートワーク手当のような課税 / 非課税のラインが微妙なもの、まれに現れる課税 / 非課税が不明な支給明細が原因だと思われます。とはいえ、過去5年分を確認してみても、誤差はおおむね 0.1~0.3% 程度だったので、よほど微妙なラインにならなければ無視できると思います。

調整控除の額の計算

これは基本的に2者択一になります。要するに、配偶者控除を受けている世帯は1,500円、配偶者特別控除を受けている or 共働き世帯は3,000円ということです。

  • 申請者(保護者)1人のみ所得がある世帯で、ひとり親家庭又は配偶者の収入(パート等)が配偶者控除の範囲内の所得の世帯=1,500 円
  • 申請者(保護者)とその配偶者が共に所得がある世帯で、配偶者控除を受けていない世帯又は配偶者に収入があり、配偶者特別控除を受けている世帯=3,000 円

年収いくらまでなら対象となるのか

実は、提示されている基準から逆算することで、ある程度の目安を計算することは可能です。再掲になりますが基準は市町村民税所得割の課税標準額 × 6% – 市町村民税の調整控除の額が304,200円未満なので、ここから課税標準額を計算すると課税標準額の上限 = (304,200 + 1,500) ÷ 6 × 100 = 5,095,000円となります (調整控除額 = 1,500円の場合)。

給与収入しかない場合、課税標準額 = 課税総所得額③となるので、言い換えると総所得額① – 所得控除合計②が509.5万円を超えなければ、全額支給の対象になるということになります。前述の通り、所得控除額はほぼ正確な値を出すことができるので、更に逆算すれば支給総額がの上限もおおよそわかることになります。

管理人は支給対象なのか?

細かい計算は飛ばしますが、管理人の2021年度の所得控除額を計算したところ 2,899,760円 でした。令和3年度よりも控除額はかなり増えていたのですが、これは長男が扶養親族から特定扶養親族になり、控除額が12万円プラスされたのが大きいです。それ以外の変動要素は、給与所得の微増に伴う社会保険料の増加のみでした。

一方で、総所得額も大きく伸びました。給与自体は微増だったのですが、所得控除の上限に達しているので、所得の増分に対する所得控除の増分が、相対的に減少していることが大きいです。何より大きいのが、永年勤続表彰の賞金で、これを現金や金券類で受領した場合は立派な課税対象になります。途中まで忘れていて、思い出した時には絶望的な気分になりました。

さて、前述の通り一定の誤差を見込んだ上で計算したところ、管理人の総所得額は804.4万円となりました。これに基づいて支給の基準となる数字を計算すると、以下の通りになりました。

(8,044,000 – 2,899,760) ×0.06 – 1,500 = 307,154

基準額が304,200円なので、ギリギリアウトです。計算式を見ればわかりますが、課税標準額が1万円減ると、計算結果が600円 (6%) 減ります。307,154 – 304,200 = 2,954円なので、2,954 ÷ 6 ×100 ≒ 49,233円課税標準額が減少すれば、基準を満たせることになります。永年勤続表彰がなければ余裕のラインだったので、もらったことが結果的に大きなマイナスを生んでしまったことになります。なんてことだ….

なんとかならないのか?

令和3年度の給与明細が出揃った時点で、収入と所得控除の大部分は決定しています。高校無償化は少なくとも3年間は適用対象になるため、次年度以降を見据えて、控除を増やすためにできることを思いつく限り並べてみました (即効性があるのは2と3くらいですが)。

1. iDeCoを始める

自分の勤務している会社に企業型確定拠出年金制度がない場合は、iDeCoをやるとその分所得控除額が増えます。具体的には、所得控除の項目にある “小規模企業決済” の金額が増加することになります。iDeCoの上限額は月額2.3万円 = 年間27.6万円なので、かなりの押し下げ効果があります。企業型確定拠出年金制度に入っている場合でもiDeCoを併用できる場合はありますが、管理人の場合はマッチング拠出を限度額までやっているので、その資格はありません。

なお、専業主婦世帯の場合、配偶者の名義でiDeCoをすることは可能ですが、配偶者自身に収入がないため、節税効果はありません。つまり、無償化の判断基準には一切影響を及ぼさないということになります。

2. 医療費控除を活用する

通年で自分が支払った医療費が10万円以上ある場合は、10万円を超えた部分が控除対象となります。超えた部分がそのまま控除対象になるので、上記の通りその6%が基準額への下押し分となります。保険が下りた場合、その金額が減産されるため、保険でカバーされる範囲のみだとなかなかこの基準は満たせないでしょう。例外が歯科で、歯科では保険がきかない自己負担の治療が多いので、ここに与える影響はかなりあります。なにはともあれ、いちど支払った医療費を確認してみるといいでしょう。

また、セルフメディケーション税制対象医薬品を1.2万円以上自費で購入している場合、その制度を利用することも考えられます。言い換えれば毎月千円買うということになるのでなかなか条件は厳しいのですが、たとえば頭痛持ちの人がちょっと高級な頭痛薬を一定の頻度で購入していれば、すぐに超える金額でもあります。なお、通常の医療費控除との併用はできないので注意が必要です。

3. (利益が出ている場合) 株やFXの損失を確定させる

株やFXで利益が出ている場合、これらは課税所得に合算されます。もし確定分で利益が出ていて、現在保有している中に含み損を抱えているものがあるとすれば、含み損を確定して相殺することで、課税所得を減らすことができます。これまでに必要経費を積んだことがないのであれば、それをまじめに積み上げてみるのも手です。

4. 控除対象の保険に加入する

もし入ろうかどうか悩んでいる保険があって、それが控除対象となるのであれば、先を見据えて加入するのも手です。基準額の押し下げのために入るのはおかしいですし、控除の上限も低いので効果は限られますが、後で入っておいてよかった、と思える時が来るかもしれません。

ふるさと納税は無関係

以前はふるさと納税の減税が住民税にも及んだので、ふるさと納税が裏技 (というほどでもないと思いますが…) としてよく取り上げられましたが、あまりに目に余ったためか、令和2年度に改正が入って現在は影響が及ばないようになっています。簡単にいうと、ふるさと納税による減税効果が出る前の数字が基準となるように、算定方式が変更されたということです。

最終的に…

偶然にも、今年歯科にかかっている家族がいて、ちょど年末に保険対象外の比較的高価な治療を行うかどうかの判断を求められていました。保険外の治療を行っても基準を下回るかどうかは微妙なのですが、この治療をしないで基準を満たさないよりも、治療をすることで基準を満たすことに一縷の望みをかける方が合理的 (後で後悔しない) と判断して、やってもらうことにしました。

一年間の医療費も、確定申告という観点からは健康保険から発行された明細が根拠文書になるので机上の計算でしかないですが、これと源泉徴収票が出揃った時点で、再度計算してみたいと思います。

コメントする