自分に合った住宅ローンを考える (基本団信と無償特約)

自分に合った住宅ローンを考える (基本団信と無償特約)

先のエントリでは金利に注目しましたが、金利以上に金融機関の差が出るのが団体信用生命保険(以下団信)です。金利は基本的にいかに低金利かという点に尽きますが(厳密に言えば目立たない条件の差異は少なからずありますが)、団信は金利よりも消費者に訴えかけやすい違いを出しやすいためか、そこで独自色を出そうとしている銀行も少なからずあります。

しかし、よくよく条件を調べてみると、一見よさそうに見える団信も実はそうでない、というケースが少なからずあることがわかります。本エントリでは、管理人が確認した限りでの基本的な団信(以下基本団信)と無償で付帯できる特約の違いをなるべく分かりやすくまとめます。

なお、本エントリの対象となる銀行は前のエントリと同じで楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、じぶん銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京銀行になります。

無料で付帯する団信にも違いはある

一般的に銀行で住宅ローンを借りる場合、基本団信は無料で付帯されます。簡単に言えば、借り手の身に不幸があって所定の状態になった場合に、その時点での残債相当額が保険金として貸し手に支払われることにより、住宅ローンがなくなるのが団信です。一見、基本団信はどこも同じように見えますが、よくよく調べてみると細かな違いがあります。

フラット35は基本団信への加入義務がない

原則として、基本団信は基本的にすべての住宅ローンに付帯して(正確に言えば、保険料が利率の中に含まれて)います。唯一の例外がフラット35で、フラット35のみ団信の加入は任意とされています。フラット35のFAQにそのものずばりのQ&Aがあります

フラット35の借入れに際して、機構団信、3大疾病付機構団信のいずれかに加入しなければならないのですか?

機構団信、3大疾病付機構団信ともお客様のご希望によりご加入いただける商品です。なお、機構団信、3大疾病付機構団信は、ご加入者に万一のことがあった場合、残りの住宅ローンを弁済するものですので、是非どちらかにご加入されることをお勧めします。

健康上の理由で基本団信(と後述するワイド団信)に入ることができない場合、団信への加入が条件となる住宅ローンを借りることはできないことになりますが、フラット35だけは借りられるということになります(別途団信相当のリスク回避を考える必要がありますが)。フラット35は様々な銀行で取り扱われていますが、銀行は窓口で実際の貸し付けは住宅金融支援機構が行っています。その前身は住宅金融公庫 = 国が住宅取得を後押しするために作った機関であるため、貸し手としてのリスクに対する考え方が違うのでしょう。

じぶん銀行と住信SBIネット銀行の基本団信は少しだけ手厚いが…

前述の基本団信の補償が発動する”所定の状態”とは、原則としてどの基本団信も死亡 or 所定の高度障害状態とされています。しかし、表題の2銀行だけは、もう少し保障が手厚くなっています。

じぶん銀行の基本団信の場合、死亡と所定の高度障害状態以外に、医師の診断書などで保険会社に余命6ヶ月以内と判断された場合にも、その時点での残債に相当する保険金が支払われます。一見素晴らしい付帯が無料でついているように見えますが、冷徹に考えれば6か月後には本来の条件を満たす事になるため、事実上最大6か月分の支払いが免除されるだけとも言えるでしょう。

住信SBIネット銀行の基本団信の場合、余命6か月に加え、保険期間中にガンと診断確定され、標準的な治療の指針にもとづく治療をすべて受けたが効果がなかったなどと保険会社により判断された場合にも、その時点での残債に相当する保険金が支払われます。こちらも冷徹に考えれば、罹患中のがんが治る見込みがない = 時間の問題で本来の支払い条件を満たすことになるため、数か月前倒しで残債が精算されるだけとも言えるでしょう。

基本団信に無料で付帯しているので贅沢は言えませんが、冷静に考えるといずれも数か月後の状態を先取りしているだけとも言えます。これらの状態から奇跡的に回復することでもない限り、他の銀行の基本団信と決定的な違いがあるとは言えないのではないでしょうか。

無料で付帯できる特約(銀行別)

いくつかの銀行は、基本団信に特約として付加できるオプションを無料で提供しています。通常は特約というのは借入金利に上乗せする形でつけるので、別の言い方をすれば金利の上乗せがない特約ともいえるでしょう。特に住信SBI銀行はこの違いを前面に出している印象を受けます。

楽天銀行 : 長期8疾病就業不能保証特約

楽天銀行の基本団信に無料で付帯できる長期8疾病就業不能保障特約は、以下のように定義されています。

8つの疾病(注1)を原因として引受保険会社(楽天生命)所定の就業不能状態となり、その状態が1年を超えて継続した場合、ローン残高相当額の保険金が引受保険会社より楽天銀行に支払われ、お客さまの住宅ローン返済に充当されます。

ここでいう”8つの疾病”が指すのは、”3大疾病【ガン(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中】および5つの重度慢性疾患【高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎臓病・肝硬変・慢性膵炎】”です。”所定の就業不能状態”が、どのような状態を指すかは確認できませんでしたが(楽天銀行は全般的に詳細情報に欠ける傾向がある)、他の同種の特約の条件を鑑みると、入院もしくは医者により自宅療養を指示されている状態となるでしょう。

無料で付帯するのはありがたいですが、ここで考えるべきは1年間入院、もしくは自宅療養という状況がどれほどの確率で発生するかということです。入院については客観的なデータがいくつか存在しますが(病気別平均入院期間, 世代別平均入院日数, 世代別今後入院する確率)、対象の8疾病でもっとも長い高血圧性疾患でさえ平均入院日数は60.5日、基本的に若い人ほど入院する確率は低くて日数が短く(住宅ローンとは無縁の)高齢者層の確率は高くて日数が長い、さらに入院日数は近年短縮傾向にあることは明らかです。個人的には、この特約が発動して残債相当の保険金が支払われる確率は限りなくゼロに近い(だから無料で付帯できる)のではないかなぁという印象を持ちました。

住信SBIネット銀行 : 全疾病保証

文言だけ聞くとものすごくインパクトがある”全疾病保証”が無料で付帯するというのですから、これはお得なのではないかと感じる人も少なくないのではないでしょうか。この特約は以下のように定義されています。

責任開始日以降に被った病気・ケガにより、責任開始日から3ヵ月を経過した日の翌日以降に就業不能状態となり、その状態が継続し、ローンの約定返済日が到来した場合、当該約定返済額が保険金として支払われます。ただし、8疾病以外の病気・ケガについては入院により就業不能状態となった場合に限ります。

責任開始日以降の病気・ケガにより、責任開始日から3ヵ月を経過した日の翌日以降に就業不能状態となり、その日から12ヵ月を経過した日の翌日0時まで就業不能状態が継続した場合、その時点のローン債務残高相当額が保険金として当社宛に支払われ、債務の返済に充当されます。ただし、8疾病以外の病気・ケガについては入院により就業不能状態となった場合に限ります。

ここでいう”8大疾病”が指すのは、”ガン(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎の8つの病気”です。若干の表現の違いはありますが、要するに楽天銀行の8疾病と同じということです。8大疾病以外の病気とケガについては入院よる就業不能状態に限るという条件はありますが、8大疾病以外をカバーするこの部分は、純粋に楽天銀行より勝っているといえるでしょう。

もう一点、就業不能状態になってから残債相当の保険金の支払い条件を満たすまでの1年間の間、住宅ローンの支払いが免除される点も楽天銀行より有利といえるでしょう。特約が発動する確率を度外視して、単純に条件だけを比較するならば、楽天銀行よりも住信SBIネット銀行の方がかなり有利といえるのではないでしょうか。

じぶん銀行 : がん50%保障団信

無償で付帯可能な特約の中で、個人的に一番惹かれたのがこのがん50%保証団信でした。この特約の定義は以下の通りですが、

責任開始日からその日を含めて90日(免責期間)経過後の保険期間中に「所定の悪性新生物(がん)」に罹患したと医師によって病理組織学的所見(生検)により診断確定された場合、そのがんの進行程度(初期から末期)に関わらず、診断確定時点における住宅ローン残高相当額もしくは残高相当額の50%が保険金として支払われます。

楽天銀行や住信SBIネット銀行との最大の違いは、発動条件が所定の状態の一定期間の経過ではなく、診断の確定だけであるという点にあります。1年間の就業不能状態が継続する確率よりも、がんに罹患する確率の方が圧倒的に高いのは、体感的にもわかると思います。また、以下にあるように、

「がん診断保険金」が支払われて半減した住宅ローンに対しては、引続き死亡・所定の高度障害状態および余命6ヶ月と判断された場合(リビング・ニーズ特約)の保障が継続します。また、「がん診断保険金」が支払われた部分の住宅ローンについて、がんが治った後に返済が再開することはありません

がんがその後どうなるかは支払いに影響を及ぼしません。私がこの特約に惹かれたのは、就業不能状態が1年継続する確率と、自分ががんに罹患する確率とを比べてたら、圧倒的に後者の方が高いと感じたからです(客観的な数値はわかりませんが)。

上記以外のソニー銀行とメガバンク3行については、確認した限りでは無償で付帯できる特約はありませんでした。

どの銀行の団信が一番お得なのか?

管理人の目には、がん50%保障を無償で付帯でき、かつ基本団信の発動条件に余命6か月があるじぶん銀行がもっとも魅力的に映りました。ただし、これはあくまで相対的にということであって、それ自体が銀行選択の決め手になるほどの違いとは感じなかったのも事実です。楽天銀行とじぶん銀行の基本団信のプラスアルファは数か月先の先取りでしかありませんし(死を宣告されて、目先数か月の住宅ローンの支払いが免除されてうれしいかというと…)、少なくとも楽天銀行と住信SBIネット銀行の無償特約は発動条件を満たす事はまずないだろうと感じました。該当の疾病で入院したとしても、まず1年以内に退院する可能性が圧倒的に高く、入院が1年にも渡るほど深刻であれば亡くなる可能性の方が高いのではないか?とさえ思っています。

となると、発動確率を考えて現実的に自分にメリットがあるのはじぶん銀行のみだろうというのが私の印象です。とはいえ、がん関連の特約は有償の特約でも各銀行の違いがもっとも色濃く出る部分でもあるため、最終的にはそこを斟酌して決めることになると思っています(がん関連の特約はつけようと思っているので)。

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