よいデータセンターとは? Part1

少し前に、/.にデータセンターを選ぶ基準は?というトピックが立ち、ブログなどで取り上げた方もいましたが、本家のトピックであるHow Do You Evaluate a Data Center?は読まれたでしょうか。

当然でありますが、/.は本家の方が賑わっていますし、そちらの方にこそ示唆に富む投稿が数多く寄せられていたので、何回かに分けて紹介しつつ、私見を述べてゆきたいと思います。

まず、オリジナルの記事は、以下の通りでした。

mpapet writes to ask about the ins and outs of datacenter evaluation. Beyond the simpler questions of physical access control, connectivity, and power redundancy/capacity and SLA review, what other questions are important to ask when evaluating a data center? What data centers have people been happy with? What horror stories have people lived through with those that didn’t make the cut?

がんばって訳して見るとこんな感じでしょうか。

mpapetが、データセンターの評価の内実と表面とについて問いかけました。物理的なアクセス制御、コネクティビティ、電源の冗長性と容量、SLAといったシンプルな問題を以外に、データセンターを評価するときにどのような質問を投げかけるべきなのでしょうか?どのようなデータセンターが人を幸せにするのでしょうか?足切りラインに到達しないデータセンターを利用すると、どんな恐ろしい目に遭うのでしょうか?

この質問に対する興味深い書き込みを何回かに分けて一つずつ採り上げてみたいと思います。
最初の返信がこちらでした。

Well first of all, I don’t know that I’d write any of those things off as “simple”. But some other points worth looking into would be:

Raised Floor Height
Cable Management (over or under floor)
Cooling Capacity and Redundancy
Power Quality (not just redundancy)
Age and Condition of Electrical Hardware (ATSs, STSs, UPSs, Generators)
Outage/Uptime History
Fire Suppression System and Smoke Detection System
Maintenance records
Maintenance records
Maintenance records

がんばってみます(^^;

そうだね、まず第一に、それらのいずれについても、”シンプル”と決めつけちゃいけないと思う。でも、他に注目するに値する点として、こんなのもあるんじゃないかなぁ。

二重床の高さ
ケーブルの管理(床上と床下)
空調の容量と冗長性
電源の品質(冗長性だけでなく)
電源設備の利用年数と状態(ATS, STS, UPS, 非常用発電機)
電源障害 / 稼働率の履歴
消火設備と煙探知設備
メンテナンスレコード
メンテナンスレコード
メンテナンスレコード

なかなかいい点を突いているなぁと思います。

二重床の高さは、あまりに高さが低いと、特に床下に空調が通っている場合はあっという間に冷気の流れが阻害されてしまいます。別の言い方をすれば、気流が通るだけの高さが確保されていればいい、ということでしょうか。

ケーブルの管理も重要です。
床下のケーブル管理が駄目だとそれこそ気流に影響を及ぼしますし、そもそもぐちゃぐちゃだとメンテナンス性が悪いうえに、オペレーションミスを誘発する原因となります。

電源の品質は、おそらく波形が美しいということを言っているのだと思いますが、これはどうでしょうか。もちろんきれいであるにこしたことはありませんが、顧客が自分で評価するのは難しいような気が….

電源設備は非常に長く利用する設備なので、利用年数もそうですが状態の方が重要です。よくメンテナンスされていれば、多少の古さは問題にならないと個人的には思います。もっとも、ATSやSTSについては、現実問題として動作確認を行うのは容易ではありませんが…

電源障害 / 稼働率の履歴も、顧客側で客観的に調べるのはまず難しいですが、もしわかるのであれば把握しておくべき項目でしょう。もっとも、個人的には障害が発生した後にしっかりと是正措置や予防保全対策などが取られていること、つまりその障害に対するデータセンター側の姿勢の方が重要だと思います。
障害には止むを得なく発生する障害と人為的に発生する障害とがありますが、重要なのは後者がいかに起こっていないのか、そして起こらないように日々努力しているのかですから。

消火設備と煙探知設備は、よほどのことがない限り問題にはならないでしょう。
もっとも、私が見た中で、サーバルームの消火設備にスプリンクラー(!)が導入されているところがありましたが、そんなところは例外だと思います。

最後のメンテナンスレコード × 3はまったく同意で、どんなに設備が優れていても、ちゃんとメンテナンスをしていなければ意味がありません。逆に、多少設備面が劣っていたとしても、メンテナンスがよければそれをカバーできるともいえるでしょう。

ちなみに、私は海外のデータセンターをいくつも見てきましたが、このメンテナンス面においては日本のデータセンターは概して素晴らしいです。以前、仕事でご一緒した中国の方から、こんな話を聞いたことがあります。

中国では、何か建物を建てて、それをよくメンテナンスして長く使って行こうという発想自体がない。何しろ国土が広いから、失敗したり古くて使えなくなったら、別の所にまた新しいを立てればいいのだから。

逆に日本は、国土が狭いがゆえに一度建てた建物をメンテナンスしながら長く利用してゆく、という考え方が染み付いているのではないでしょうか。ですから、データセンターの運用においても、ある意味”退屈な”メンテナンス作業に時間と人とお金を費やしてゆけるのだと感じています。

コメントする