サイバーリンクメンバーズの事実

 サイバーリンクには”サイバーリンクメンバーズ”という、同社の製品の購入者向けの会員プログラムがありますが、実は日本を含むアジア圏とそれ以外とでは大きな違いがあります。今回徹底的にリサーチしたので、その結果を簡単にまとめておきます。

サイバーリンクメンバーズのランク判定は決済通貨別

 サイバーリンクのWebページは世界に点在しており、自分で好きな国で好きなソフトを、好きな通貨で購入することが可能です。購入金額に応じてMembers Reward Program (以下MRP) のランクがBronze, Silver, Gold, Platinumと上がってゆく仕組みですが、ランクの判定基準は決済通貨別で、更にアジア圏の一部の国のみ実質国別で基準が設けられています。なお、会員登録自体は世界共通のようなので、通貨別に登録を行う必要はありません。どこか一か所で登録を行った時点でBronzeランクとなり、以降決済通貨と購入額に応じて、その通貨でのランクが変動することになります。

 サイバーリンクの国別サイト、それぞれのサイトに記載があるMRPランクの基準となる通貨、そして管理人のランクの対応関係を調査したところ、以下の通りでした (2018年12月9日時点)。

地域通貨管理人のランク
アメリカUnited StatesUS$Gold
CanadaUS$Gold
LatinoaméricaUS$Oro (Gold)
ヨーロッパUnited KingdomUS$Gold
Deutschland€ (ユーロ)Gold
EspañaUS$Oro (Gold)
Schweiz€ (ユーロ)Gold
France€ (ユーロ)Or (Gold)
Italia€ (ユーロ)Oro (Gold)
Suisse€ (ユーロ)Or (Gold)
Rest of EuropeUS$Gold
アジア日本\ (日本円)ブロンズ
台灣NT$ (台湾ドル)一般會員
香港NT$ (台湾ドル)一般會員
中国\ (人民元)一般会员
대한민국KRW (韓国ウォン)일반 회원 (ブロンズ)
Rest of AsiaUS$Gold
オセアニアAustraliaUS$Gold
New ZealandUS$Gold
Rest of OceaniaUS$Gold

 見ての通り、アジア圏だけ実質的に国別になっています。おそらく日本円建てで購入した場合、非アジア圏のみならず、台湾や香港でもその実績はカウントされないでしょう。

 なお、管理人は米国Cyberlinkで2018年11月24日にMedia Suite 16 UltimateをCA$79.96≒\6,786で購入しましたが、基準にないカナダドルで決済したにも関わらず、アジア圏以外ではGoldランクの資格を得ています。このことより、基準が設定されていない通貨 ⇔ US$ ⇔ ユーロのように、別途基準が設けられている日本円、台湾ドル、人民元、韓国ウォン以外は、相互に認定される仕組みがあると考えられます。

 これはサイバーリンク全般的に言えることですが、グローバルで一定の基準に合わせようという意識が希薄な気がします。よく見ると、ユーロ圏のスペインの基準がUS$になっていますし、逆にユーロ圏でないスイスの基準がユーロになっています。また、同じく非ユーロ圏のイギリスの基準はUS$になっています。これが問題にならないということは、上記の通り様々な通貨でそれなりによろしくやっているということなのでしょう。

メンバーリワードプログラムの特典の違い

 別に国ごとにランクが違っても、どこかで正しいランクの権利を行使できればそれでいいだろう、と思うかもしれませんが、MRPの特典内容は日本と海外とでは微妙に異なります。日本のサイバーリンクのサイトに記載があるMRPのランクとその内容は以下の通りです。

日本、台湾、香港、中国、韓国のメンバーリワードプログラムの内容

 記載はありませんが、管理人の謎の情報源によると、日本のシルバーはYouCam 6 Deluxeを、ゴールドとプラチナはPhotoDirector 6 Deluxeを特典としてダウンロードできるようです。一方、米国の同じページを見ると、以下のように記載されています。

上記以外の国々のメンバーリワードプログラムの内容

 上記の通り、Silver MemberにはPower2Go 11 Deluxeが、Gold Member以上にはPhotoDirector 8 Deluxeが無償で提供されると記載されています。実際、管理人が米国でGold Memberとしてログインすると、PhotoDirector 8 Deluxeのダウンロードリンクとシリアルキーが参照できました。なお、Gold MemberだとSilver Memberの特典であるPower2Go 11 Deluxeの提供は受けられないようです。ちなみにPower2Goは2018/12/9時点で最新版は12、しかもバージョンが統一されてDeluxeはラインナップから消滅しています。Power2Go 11のDeluxeとPremiumの違いはこちらの、11と12のPremiumの違いはこちらのFAQに記載がありますが、どうしてもPremiumが必要という人はほとんどいないのではないでしょうか。

 さらに調査を進めると、そのほかにも微妙に違いがあることがわかりました。結果をまとめた表を以下に示します。思ったよりも大きな違いがありました。

メンバーリワード特典一覧

  注目すべき点を以下に列挙します。

  • Bronze以上 = 登録者全員に与えられているクーポンコードは、日本以外のアジア圏では5%、それ以外はすべて10%割引だった。一部15%と表記されていたサイトもあったが、実際に公開されていたクーポンコードは10%だった。ちなみにこのクーポンは世界共通のようなので、もし本当に15%のクーポンが公開されたら、世界中のどこでも使える可能性が非常に高い。
  • 米ドル基準のメンバーシップでもラテンアメリカのサイトだけは特殊で、SilverにScreen Recorder 2が提供されている。米ドル基準のSilverの保持者であれば、ラテンアメリカ以外のサイト (Ex. 米国) でPower2Go 11 Deluxeが、ラテンアメリカでScreen Recorder 2が入手できる(はず)
  • 日本以外のアジア圏のメンバーシップで提供されている特典ソフトは、ランクが上がると累積してゆく。米ドル・ユーロ建てのメンバーシップは累積ではないため、上位の資格を持っていても下位の特典ソフトは入手できない。
  • 日本以外のアジア圏のサイトで入手できる特典ソフトについてはバージョン情報の記載がなかった (ソフトウェア名自体もあいまいな表記であった) ため、”???”と記載している (知っている人がいらっしゃったら教えてください) 。
  • YouMemoはYouCamとの連携が可能な付箋ソフトらしいが、2010年以降新しいバージョンが出ておらず、開発が停止していると思われる。
  • 日本のGold・Platinumランク特典ソフトのPhotoDirector 6は、米ドル・ユーロ建ての特典であるPhotoDirector 8より2世代も古く、Windows 10にも非対応 (PhotoDirector 8は対応) 。なお、PhotoDirectorはMac版も存在するが、提供されているのはWindows版のみ。

以前はもっと基準が緩かった?

 ちなみに、管理人が初めてサイバーリンクの公式サイトのダウンロード販売で購入したのは、2015年12月6日のPowerDVD 15でした。この時にアカウントの登録も同時に行っていますが、当時受け取ったメールに記載されていたメンバー特典は以下のように記載されていました。

PowerDVD 15購入当時のメンバー特典

 ”ライティング ソフトウェア (無料)”の記載がありますが、おそらくPower2Goのことだと思われます。注意が必要なのは、これはPowerDVDを登録した際にもらったメールであり、メンバーリワードプログラムのメールではないという点です。おそらく2015年12月当時は、メンバー登録を行っただけでPower2Goがダウンロードできていたと思われます。手元の記録を見る限りでは、2017年1月にメンバーリワードプログラムが開始されたようなのですが、詳細は不明です…

狙う無料ソフトがもらえる通貨で決済する

 さて、管理人は購入したのがたまたまMedia Suiteであったため、Power2GoやPhotoDirectorの無償提供の恩恵を受けることはありませんでしたが、購入するソフトによってはこれらが欲しいと思う場合もあるでしょう。その場合は、それらがどの国のどのランクの特典として入手できるかを確認したうえで、対応する通貨で決済すればいいことになります。残念ながら、これまでの情報を見る限りでは日本円で決済するメリットは薄そうです。日本円で決済すると高いですしね!

 なお、上記に挙げた一部の特典ソフトについて、“本当に”無料で手に入れるあざとい方法もありますが、それはここでは伏せておきます。よーーーく考える & 想像力を働かせれば、意外と簡単に入手できますよ? (クラックされたシリアルを入手するとかではなく)

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