B331からKitkatにRollbackする

先のエントリで書いた通り、管理人のAscend Mate 7はビルド番号B331のLollipopに更新して利用していたのですが、とある事情でMate 7 + ドコモの音声SIM(パケット契約なし) & OCNモバイルONE(SMSなしデータSIM) + MR03LNという体制からNexus S + ドコモの音声SIM(パケット契約なし) & Mate 7 + OCNモバイルONE(SMSありデータSIM)に変更することになりました。

簡単に言えば、OCNモバイルONEのデータSIM(SMSあり)を追加契約し、Mate 7に挿さっていたドコモの音声SIMを余っていたNexus Sに挿し、追加契約したSIMをMate7に挿すことでモバイルルータを浮かせ、それに元のOCNモバイルONE(SMSなし)を挿して妻に持たせることで、ドコモのパケホーダイフラット(月額5,200円)を解約しようという目論見なのです。

上記のように、当初の予定はSIMを挿し変えるだけだったのですが、色々な経緯があって最終的にKitkatにRollbackする羽目になってしまいました。B331からKitkatへのRollbackはあまり話題に上らないので、簡単に経緯をまとめておきます。

1. おもむろにSIMを挿し変える

まず、おもむろにSIMをOCNモバイルONEのものに挿し変えてから電源off  -> SIMを交換 -> 電源onを決行しましたが、予想通り4Gを掴みに行く気配はありません。それどころか3Gですら通信ができません。正確に言えば、アンテナは立っているのにモバイル通信ができない状況で、電源off ->onやSIMの挿抜をしてみますが、状況は改善されません。この時点で取得したスクリーンショットが以下の状態です。

B331ToKitkat1

ネットワークが”NTT DOCOMO”で、モバイルネットワークの種類がUMTS(欧州流の名前で、日本流にいえばW-CDMA = ドコモの3Gの通信方式)となっているにもかかわらず電波強度が”0″であること、サービスの状態が”休止中または使用不可”になっていること、モバイルネットワークの状態が”切断”となっていること、アンテナが立っているのにモバイル通信が行われていないことがわかります。

2. 優先ネットワークの設定を変更する

ちなみに一連の作業はすべて自宅(東京都世田谷区でLTE圏内)で実施しており、モバイルルータ経由ではLTEで通信ができていたので、3Gですら通信ができないのはどう考えてもおかしいです。後で思い返せばここでもう少し気長に色々試すべきだったのですが、諸般の事情で急いでいたので、優先ネットワークを明示的に指定することにしました。

管理人の端末の優先ネットワークの設定は、KitkatからLollipopに更新した時点で選択肢にない”4G/3G/2G”が有効になっており、B331更新後もその状態を維持していました。状況を鑑みると、何かを選択した時点で”4G/3G/2G”に戻せなくなる可能性はかなり高かったのですが、”3G/2G (自動)”を選択してみます。

B331ToKitkat2

これが功を奏したのか、はたまた単純に別の何かがあったのか、この時点で3Gでの通信が成立するようになりました。スクリーンショットのアンテナを見てもモバイル通信が行われていることはわかりますし(3Gの下に小さな2つの三角がある)、時折”H”(FOMA high speed = 最大14Mbps)で通信している様子も確認しました。しかし、やはり待てど暮らせど4G = LTE(最大150 or 112.5Mbps)での通信は始まりません。また、予想通り4G/3G/2Gには戻せなくなりました(選択肢がないので当然ですが)。

3Gでは接続できており、仮にLTEで接続できてもどうせ14Mbpsなんて出るはずもないので、ここであきらめるという選択肢もありました。しかし、”この状態でfactory resetしたらLTEでアンテナが立つのか”という興味が勝ち、factory resetを敢行することとしました。

3. factory resetをする

電源と落とした後、電源ボタンとVolumeの上を押しっぱなしにしてEMUIのメニューを出してから、Factory resetを選択します。リセット完了後、モーションコントロールが真っ白になり、その代償として優先ネットワークの設定の選択肢が一気に増えました。ここは期待通りの挙動です。

しかし、確かに選択肢は増えたものの、どれを選択しても4Gではアンテナが立ちません。確かにW-CDMAが含まれる選択肢を有効にすると3Gでアンテナが立ちますが、LTEが含まれる選択肢を有効にしても4Gでアンテナが立つ気配がありません。LTEのみの選択肢を有効にすると、一切通信ができなくなるし…

この時点でLollipopで4G通信を行うことを諦め、Kitkatへ戻すことを決意しました。管理人はいきなりモバイルルータから入ったため、Mate 7で4Gのアンテナが立った状態を知りません。一度をそれを確認してから先に進みたいという思いもありました。

4. KitkatへのRollbackを試みる

B329からTransition packageを利用してのダウングレードはできないとのコメントを頂いていますがB331は挙動が違うかもしれない & 自分の目で確認すべきということで、XDAですら成功報告がないことに敢えて人柱的に挑戦してみます。先のエントリで紹介したTransition packageはビルド番号が”MT7-L09V100R001C900B300″でしたが、今回確認したところHuawei中国サイト(英語版)により新しいと思われる”Jazz-L09 V100R001C900B308 Downgrade Package“があったので(同梱のPDFは同じだったので名前だけが違うのかもしれませんが)、それをダウンロード & 解凍してSDカードの/dloadにコピーし、EMUIのローカル更新を開始します。

更新を見守っていたところ、100%に到達した直後にエラーで終了しました。再起動してみたところ、バージョン番号も変わっていませんでしたが、この状態で成功したという報告があったので気にせず先に進みます。

続いて、先にダウンロードしたまま保存してあったHuawaiの日本のサイトで公開されているKitkatのファームイメージを同じくEMUIのローカル更新で適用します。これが失敗するのかと思っていたらなんと成功し、再起動したら何事もなくKitkatが立ち上がってきました。その後、通知に従ってOTAを2回適用した結果、MT7-J1V100R001C00B158SP09になりました。

B331ToKitkat3

ということで、日本語版Kitkat -> グローバル版Lollipop(B324) -> OTA B331 -> Transition package(B308) -> 日本語版Kitkatという順番でのファームウェア更新が、EMUIのローカル更新のみでできるということが確認できました。正直、意外な結果でした。

5. 端末/Android OSと利用可能なLTEバンドとの関係についての考察

改めてKitkatに戻ってみてもっとも強く感じたのは、4G = LTEが非常に安定しているということでした。これはおそらく日本語版のファームウェアが、日本の通信事情を鑑みて日本で利用されているLTEのバンドをサポートしているからだと思われます。ちなみに管理人の自宅(東京都世田谷区某所)で4G Debug Infoで確認したところ、LTE接続に利用されていたのはBand 3でした(この画面の出し方はこちらを参照)。NTTドコモのサービスマップを見ると、管理人の自宅は2016年3月までにBand 3 = 下り最大150Mbpsのサービス提供開始予定地区に入っているので、妥当な結果といえるでしょう。

B331ToKitkat4

すっかり忘れていましたが、Android端末が任意のバンドを利用するには、端末機器によるハードウェアとしてのサポートと、Android OSによるソフトウェアとしてのサポートの両方が必要となります。当然、どちらか片方だけがサポートしていても駄目で、両方が揃ってはじめてそのバンドを利用できるのです。Nexus Sのrootを取って遊んでいた頃は気にしていたのですが、うっかりしていました。任意のファームウェアは当該ファームウェアの”本来”適用されるべき端末が利用されている地域のLTEのバンドに最適化されているため、どの地域/国のファームウェアを利用するのかはとても大事なのです。

さて、Ascend Mate 7がハードウェアとして対応するバンドについては、日本の公式サイトに以下のように書かれています。

LTE : B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B19/B20/B40
WCDMA : B1/B2/B4/B5/B8/B19
GSM : 850/900/1800/1900MHz

私が導入したLollipopのファームイメージはマレーシアのものでしたが(URLが”…huawei.com/my/…”なので)、Huawei MalysiaのMate7のSpecificationには以下の記述があります。

LTE FDD Band 1/2/3/4/5/7/8/20/28(Aphase)
LTE TDD Band 40
UMTS 850/900/1900/2100/AWS MHZ
GSM 850/900/1800/1900 MHZ

ちなみに、日本以外の国々のHuaweiでの表記はほぼすべて上記のように記載されているので、これは間違いなくハードウェアとしてのMate 7がサポートしているバンドになります。日本版のみB19があり、逆にB28がないのが不思議ですね。

さて、マレーシアで提供されているLTEサービスはB3とB7を利用しています。現地で販売されているMate 7に搭載されているAndroid OSがサポートしているバンドは結局わかりませんでしたが、少なくともB3とB7はサポートしているはずです。そうであれば、私の自宅でLollipop化したMate 7もB3を掴めていいはずですが、実際はつかめませんでした。日本からマレーシアにMate 7を持って行って現地SIMを挿したらLTEを掴めたという話もあるようなので、その逆もまた然りだと思うのですが…端末とAndroid OSがサポートするバンドについてもし詳しい方がいらっしゃったら、コメント頂ければ幸いです。

管理人は動画や音楽配信など、広帯域を必要とするサービスはほとんど利用しませんが、それでもやはり3Gと4Gでは体感速度が大きく違います。メイン端末として使う以上、安定性を優先して当面は純正のKitkatで行こうと思っています。

「B331からKitkatにRollbackする」への4件のフィードバック

  1. こちらの記事に大変お世話になりました、ありがとうございます。
    私は楽天モバイルですがご報告します。

    1.B331適用後、優先ネットワークをWCDMA/LTE/GSMに設定
    2.他のAPNを消去後、楽天モバイルのAPN設定で、MVNOタイプをSPNにすると4G通信をつかむようになりました。
    3G・4G・Hと場所によって表示もちゃんと切り替わりました。
    ただ、仰るとおり4Gのつかみは以前より悪い気がします。
    自宅の1階リビングでは3G(B331適用前は4G)、2階寝室は4G(B331適用前と同じ)になります。

    参照記事:http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/minna/20150609_705913.html

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    • 遅ればせながらになりますが、コメントありがとうございます。
      参考記事も拝見しました。

      MVNOタイプの設定で4G通信を掴めるようになるとは…勉強不足でした。
      それを試せばひょっとしたら私も(OCNモバイルONEで)掴めたのかもしれませんね。

      もしまたLollipopに更新することがあったら是非試してみたいと思います。

      返信
  2. こんばんわ、先のエントリのB331へのアップデート大変参考になりました。ありがとうございました。

    B329からのダウングレードですが、私はB329-B324-B308-J1の順にフラッシュを試したところ成功しました。
    (B308はイタリア版。)
    途中エラーが出たりという状況は本エントリと同様でした。
    やはりエラーの有無やバージョン表記に関わらず続行する肝の強さが重要と思われます(笑)。

    これからマシュマロ対応などでまたロールバックの必要性もありそう……ない方がいいですが……なので、有事の際は参考にさせていただきます。ありがとうございました。

    返信
    • 遅ればせながらになりますが、コメントありがとうございます。

      B329にしてもB331にしても、同じ手順を踏んでいるにも関わらず成功している人と失敗している人とがいるようですね。
      途中でエラーが出ると少し戸惑いますが、この機種は最終的には3-bottun-resetでファームウェアの適用が可能なので、他機種よりは気が楽ですね。

      MarshmallowもBeta版が公開されているようですし(まだまだbuggyなようですが)、当分はこの機種で行けそうですね。
      端末更新がせいぜい2年に1回程度なので、長く戦えるのはありがたいことです。

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