以下の考察には、第四話以降の内容を前提としたネタバレ的要素が含まれています
(なるべく控え目にするよう心掛けてはいますが)
楽しみを取っておきたい方は読まないか、読んだらすぐに忘れるようにしてください(^^;
いきなり巨大なコンパクドライブが画面に現れ、それを取り囲むように座る3人の老人の会話で第三話は始まります。後でわかりますが、この3人は3賢人と呼ばれる、実質的に話中の世界の支配者に相当する面々です。彼らは、ニルヴァーシュの発動について話しています。
(男A) 信じられん、まさかこのようなことが実際に起こるとは…
(男B) しかし、報告は事実だ。
(男A) typeZEROの発動、それに伴うセブンスウェル現象…
(男B) どれもこれも、あの計画書通りだよ。アゲハ構想…アドロック・サーストン博士が提唱した幻の計画書…あれは、廃棄されたはずのものではなかったのかね?
出ました、アゲハ構想。最終話までその詳細が語られることはなかったと思いますが、とりあえずレントンの父であるアドロックが提唱したこと、今は廃棄されてしまった状態にあることだけはわかります。中央上部にあるロゴですが、人の手がパイルバンカーを何かに突き刺しているように見えますね。円を描いて重なり合っている3本の帯が何を意味するのかはわかりませんが…
どう考えてもアゲハ構想 = 死海文書で、3賢人 = ゼーレな訳ですが、発見されたことになっている死海文書が荒唐無稽である印象を受けるのに対し、アドロックが著わしたアゲハ構想の方が親しみがあるというか、どちらも非現実的でありながらも現実的というか…そんな印象をこの時点では受けます。話は続きます。
(男A) 我らの忌むべき過去…その亡霊が再び立ち現われたというのか…
(女) いずれにせよ、事は起こったのです。何らかの対処をするのが賢明なのではないですか?
(男B) まさか貴公、あの男を召喚するつもりではあるまいな?
(女) いかにも。今回のこの事例に、冷静に正確に対処できるのは、あの男しかおりませんでしょう。
ここでこの物語の最後まで関わってくる重要人物である、デューイが初めて登場します。
続く会話より、デューイが一時期アゲハ構想を推進する立場にあったことが分かりますが、おそらくは何か不都合が生じ、すべての責任を被せられて、軍籍を剥奪されて幽閉されている模様です。しかし、超がつくほど有能な人物であったことが見て取れます。
(男B) 何を考えておる?この男は、我らの手で幽閉した身、今更…
(女) 今更何だと言うんです?アドロック・サーストンの計画を引き継ぎ、アゲハ構想を推進させたこの男こそ、今の我らに必要な人材ではないのですか?
(男A) デューイ・ノヴァク中佐か…大丈夫なのかね?
(女) 噛みつくだけの力がなければ、これに対処することなど不可能でしょう。
ところで、この巨大コンパクドライブ、単純にコンパクドライブの形を模しているだけなのか、本当に巨大なコンパクドライブなのかはわかりませんが、前者だ としたらこのように任意の画像を映し出す機能も持たせることができるんですね。感覚的に、通常の小型のものとは明らかに一線を画しているようにも見えるので、後者だと思いますが。
場面が変わってゲッコー号の中。
ストナーとハップとがラジオを聞きながらくつろいでいます…が、地殻変動のニュースを耳にしてにわかに慌てて地図を確認します。そして、その地殻変動が進行方向であるストロホルンにある、有名なトラパーの間欠泉に影響を及ぼすということが分かって盛り上がります。
その一方で、ゲッコーステイトでの生活で、理想と現実とのギャップに悩むテンションが低いレントン。
ニルヴァーシュのコックピットでアミタドライブを見守るためだと自分に言い聞かせている所で、”レントン君!”とタルホに呼ばれます。アイスボックス?を手渡されて、冷蔵庫からコンパクドライブを工房に届けるように言われたレントン、まずはコックピットでホランドのサインをもらいます。そこでゲッコー号が金欠状態にあり、リフなどしていられる状態にないことを知り、改めて理想と現実を思い知らされます。冷蔵庫からコンパクドライブを取り出すレントン。
(レントン独白) つまり、ゲッコーステイトは貧乏な訳で、理想と現実は違うって爺っちゃんがよく言っていたけれども、確かにそうだし、でも、それは十分に分かっていたし、それに、覚悟もしていたつもりなんだけれども、でも、なんか違う…なんか納得できない…何でこうなったんだろう…何か、息苦しい…
第三話までのテーマが信じることであったとすれば、この第四話のテーマは、レントンのこの独白の中にある”納得できない”と”息苦しい”に集約されるといってもいいでしょう。まぁ、1週間前までベルフォレストしか知らなかった14才のレントンが現実を現実として受け入れることができてしまっていたとしたら、それは受け入れているのではなくて諦めていることになるでしょうから、悩める前向きな少年としては正しい反応でしょう。
子供3人衆の襲撃を受けて思わず部屋から飛び出したレントン、これが初登場となるケンゴーとミーシャに出会い、今度は医務室に連れてゆかれます。計器類を付けられたレントン、その理由をミーシャに尋ねます。
(レントン) あのぉ、何ですか?これ…
(ミーシャ) 何って、色々キミを調べなくちゃいけないでしょ?
(レントン) いやぁ、あのぉ…
(ミーシャ) キミが隣にいるとニルヴァーシュも調子がいい…そうエウレカが言っているのよ。
(レントン) エウレカが?
(エウレカ) ミーシャ、 準備はできたの?
第三話での初登場となるエウレカ、第一話の初登場時と比べると明らかにリラックスした表情です。何かを楽しみにしているようにも見えます。
パンツ一丁だったレントン、ここで服を抱えて壁に後ずさり…どうやらエウレカが入ってきたことで急に恥ずかしくなったようですが、ミーシャは非常に意外だった模様です。大人にはわかりにくい感覚だったという意味なのでしょうが、誰しも過剰なまでに同世代の異性を意識していた時期はあったはずよね。
ところで、エウレカの発言をミーシャが代弁しているところですが、明らかに不自然ですね。”キミが隣にいると”の主語は明らかにエウレカであるにも関わらず、続く言葉が”ニルバーシュも調子がいい”となっています。どう考えても、間に”私も”という言葉が入るはずです。つまり、本来であれば”キミが隣にいると私もニルバーシュも調子がいい”となるはずなのです。後で、レントンが隣にいるとエウレカもうれしい、というような表現が別に出てきますが、レントンがエウレカの奥底に確かに影響を与え始めているという事実に、エウレカ自身が気が付いていないということなのでしょう。それをこのような描写を通して感じさせるという手法は、うまいなぁと思わされます。
テストのために艦外に出たニルヴァーシュのコックピットで一人悩むレントン。
(レントン独白) 何でだろう…何でかわからないけど、このコックピットは、すごく息苦しい感じがするんだ…確かに僕は今、空を飛んでいる。でも、ここから見える空は、なんだかニセモノな気がするんだ、姉さん…
再び”息苦しい”という言葉が出ます。エウレカはそのうち慣れる、というものの、自分は慣れるのだろうか?と自問自答するレントン。
そんなレントンの苦悩をよそに、絶好調のニルヴァーシュをコックピットで見守るミーシャとホランド。
(ミーシャ) 見て…まるで生まれ変わったみたい。すべての反応値で基準を上回っているわ。そしてあのセブンスウェル現象の発生…
(ホランド) 一体、何が原因なんです、先生?まさか、本当にレントンが…
(ミーシャ) 実物を見たこともなかったアミタドライブだけじゃないわ。typeZEROに関してだって、いまだ謎は多い…それが知りたいがためだけに、私はエウレカと共に軍を抜けてここにいるの。そう簡単にいろんなことがわかってたまるもんですか。
(ホランド) まっ、いずれにせよ、しばらくは二人で乗せて、様子を見てみるとしますか。
(ミーシャ独白) トラパーは人の心に直接語りかけ、その感情を左右するといわれている。でも…もしそうだとしたら、その逆は本当にありえないって、私たちは本当に言い切れるのかしら…本当に…
ここで初めて、エウレカがミーシャと共に軍から抜けたという事実が明らかにされます。実際にはホランドをはじめとするゲッコーステイトの主要メンバーと共に、というのが後に明かされますが。ミーシャはおそらくはエウレカを担当していた研究者であったのでしょう。ということは、アドロックとも少なからず面識があるのでしょうか(描写はなかったと思いますが)?珍しく敬語を使ってホランドが話しかけているところからも、ミーシャがゲッコー号で担っている役割の重要さが窺い知れます。
ここでミーシャは、トラパーが人の心に直接語りかけて、その感情を左右すると言われていることに言及すると同時に、その逆、つまり人の心がトラパーに直接語りかけて、その感情を左右する可能性に言及しています。あえて触れているということは、少なくともミーシャはその可能性があると考えているのでしょう。そしておそらくは、セブンスウェル現象のことを言っているのでしょう。この時点では仮説以外の何物でもありませんが、この問いに対する答えが提示される時は来るのでしょうか?
テストが終わって格納庫に居るレントンとエウレカ。機上で何やら整備中のレントンに、ニルヴァーシュと話をしていたエウレカが声をかけます。
(エウレカ) お疲れ…よく頑張ったね…ねぇ、
(レントン) 何?
(エウレカ) ちょっと。
(レントン) 何?どうしたの?
(エウレカ) この子がね、今日キミと飛べて楽しかったって。
(レントン) ぇ?
(エウレカ) この子ね、レントンにそういうこと言わないんだよ。気難しい子だから…それにね、私も楽しかったし。
(レントン) えっ?
(エウレカ) 私、いつもこんな気分で乗りたいな。いつも、こんな気分で波に乗れたらいいのに…
(レントン独白) そう…この時、僕はどうやったらこの子の笑顔が持続できるのか、そればっかり考えていたんだ。
相変わらずレントンを”キミ”と呼ぶエウレカ。でも、エウレカ自身も楽しかったということがここで明かされています。先に、レントンが横に乗っているとニルヴァーシュが調子がいい、とエウレカが言っていることをミーシャが語っていますが、ここでのエウレカの発言からもニルヴァーシュの調子 = エウレカの調子であることは間違いないようです。もっとも、エウレカ自身にはその自覚がないようですが。確かに、横に誰かを載せてニルヴァーシュを動かすこと自体がほとんどなかったようですから、そのような発想にならなくても当然なのかもしれませんが…ニルヴァーシュの調子がいいのは、エウレカが気分よくニルヴァーシュに乗っているからであることは間違いないでしょう。
食堂に集められた一同、ホランドから金儲けのアイディア募集を知らされます。副賞としてタルホのキスがつくとのことでしたが、レントンは心の中で”あの娘の笑顔”を希望します。レントンもエウレカをエウレカと呼べないでいるんですね。これがいつ変わってゆくのかに注目したいと思います。
格納庫で一人、自分のイケてなさを悔いるレントンの目に、リフ大会のチラシが目にとまります。
とりあえずこの世界の通貨は”YEN”のようですね。もっとも、日本円とは限りませんが…中国元も、英語で書けばYENですし。
主催はなんだかよくわからない謎の記号…と思いきや、後でレントンがクリエが主催であると言っているので、これはクリエのブランドマークか何かなのでしょうか。協賛の凡頭出版の凡頭は、もちろんエウレカの制作元であるボンズですね。”生スカブを見守る会”というのは意味が分かりませんが、逆の言い方をすれば生ではないスカブが普通なのでしょうか?副賞の骨酢ヌードルも、これまたボンズ(Bone酢)ですね。
再び食堂に集められた一同、ハップが取ってきた密輸の仕事の概要の説明を受けます。いちゃもんがついた所でレントンが対案としてリフ大会への出場を提案しますが、全員が華麗にスルー…触れてはいけない話題に触れたのは明らかで、そのまま結局密輸の仕事をすることで話がまとまります。そして、最速のLFOがニルヴァーシュであるということで、エウレカとレントンがその任に就くこととなります。
レントンは密輸のブツの運搬担当、操縦はエウレカ担当という分担で、経路の途中にある州軍基地を正面突破で突っ切るニルヴァーシュ。激しい戦闘の中、何故ここを通るのかという疑問を投げかけたレントンに、トラパーの大波がここにある間欠泉にやってくることが明かされます。一気に元気を取り戻すレントンの前に、トラパーの大波が…
この大波の中でリフを楽しむゲッコーステイトの面々。
(レントン) 本当のところ、僕は全然格好良くないホランド達に、失望していたんだ。何もしてくれない、何もやろうとしないみんなに…でも、今僕は、ホランド達のリフを生で見ている。それだけでもう十分だった。やっぱり、ゲッコーステイトは格好よかったよ、姉さん!
しかし、相変わらず姉さんなんですね、レントンは…いつになったらここから抜け出すのでしょうか?歓喜のあまりに、手を滑らせて積み荷をクーラーボックスから飛びださせてしまうレントン。
ゲッコー号に戻った後に、ブツが人間の臓器だったということが明かされ、結局ゲッコーステイトがやっていたのは臓器の密輸だったということがわかります。
でも、エウレカセブンは日曜日午前7時から放送されていたと聞いていますが、少なくともチビッ子たちが見る番組ではなかったということがこれではっきりしましたね…子供と一緒に見ていたお母さん/お父さんがいたとしたら、この場面をどうやって子供に説明したのでしょうか?僕だったら困り果ててしまいます…
結局報酬を値切られてしまい、作戦の責任者としてトイレ掃除を仰せつかったタルホ半ば逆ギレ気味にレントンにその仕事を押しつけます。仕方なくトイレ掃除をするレントンの元に、マシューが登場。
(マシュー) 一つ、教えてやるよ。
(レントン) ぇ?
(マシュー) お前が言っていたクリエの大会があるポイントな、あそこはトラパーが薄っぺらいんだ。だけど、今回の密輸コースには、さっきの間欠泉があっただろう。あそこに分厚いトラパーが来ること、俺らはラジオで知っていたんだ。それに何よりもさ、賞金を稼ぐぐためのリフは絶対にしない…それが、俺らだ。それから、お前気にしているみたいだから言っておくけどさ、普通考えれば分んだろ?あのチビッ子たちが、エウレカの実の子じゃないことぐらいさ。
とりあえず、賞金稼ぎは行わないということを置いておいたとしても、ゲッコーステイトが”大会で優勝すること”よりも”楽しいリフができること”を優先させているということがわかります。まぁ現実的に考えれば、ゲッコーステイトはお尋ねものですから、のこのこと大会に現れたらその場でお縄を頂戴することになるでしょうが…
そして、チビッ子とエウレカの関係の”一部”がマシューによって明かされますが、確かにこれは冷静に考えればわかることですよね…もっとも、エウレカは14才ということになっていますが、普通の人間とは違う成長過程を踏んでいるので、更に冷静に考えればありえないことではないのですが、それはまたあとで言及する機会があるでしょう。
マシューと別れた直後、なぜか男子トイレの正面で素晴らしいポーズを決めているタルホが登場。
(タルホ) よかったじゃない、
(レントン) ん?
(タルホ) 教えてもらったんでしょ、私たちのことも、エウレカのことも。でもさ、本当にあの子たちがエウレカの実の子供だったら、どうだったの?
(レントン独白) それに僕は答えられなかった…何か、いい言い方があるのはわかっていたんだけれども、でも、この時の僕には、それが思いつかなかったんだ。
どうしたんでしょうか?ちょっと14才には重すぎる質問ですね…格好をつけるのであれば、”俺が父親になってみせる!”という所でしょうか。
そして最後に、今後の大事な伏線が…
手に持っているBONZU-SYA発行の”金枝篇”については、後の方の回で触れる機会があると思いますので、ここでは省略しておきます。この段階では、デューイがそんな本を読んでいるということを頭の片隅にとどめておけば十分でしょう。
(ドミニク) すべてが中佐の言った通りになっています。typeZEROの発動、セブンスウェルの再来…おそらくこのままですと、奴らが出現するのは間違いありません。間もなくです、デューイ中佐。今日の賢人会議で、必ずや中佐の復権が認められ、そうなれば我らが…
(デューイ) 私は礼節を無視するつもりはない。今のこの世界の王は、その自らの罪から逃れ続け、生き長らえ、そしてそれが支持されている。だが…いずれその罪を償うために、王は死を迎えざるを得ない。たとえどれだけ逃げ回ってもだ。しかし、その王自らが首を差し出しているのならば、その首を刎ねてやるのが礼節だとは思わなないか?
ドミニクが言っている”奴ら”とは、おそらくずっと後に登場する抗体コーラリアンのことでしょう。それについてこの時点で語っているということは、やはりその出現がアゲハ構想の中で触れられていたとしか思えません。構想というよりも、預言書的な扱い、もう少し言えばエヴァにおける死海文書にそっくりな役割を担っていますね。結局最後まで直接的にその内容が語られることがないのも同じですが、何が書いていあるのか(書いてあるという設定になっているのか)見てみたいものです。
今のこの世界の王とは当然3賢者のことですが、デューイは”その王自らが首を差し出している”と表現しています。要するに、この時点でデューイはすでに3賢者の殺害を決心していて、それが自らのポリシー = 礼節に合致した行為であると考えているということになります。自分を解放すること = 首を差し出していると考えるのはかなり曲解している気がしますが、デューイ自身が己の考えに絶対的な自信を持ち、それを鉄の意志で遂行する人物として描かれているので、筋は通っています。
2009年末に体調を崩してしまったため、随分と時間がかかってしまいましたが、これでようやく第4話終了です。
この話は大きなテーマは見えませんが、小さな伏線が様々な所にちりばめられていたという印象です。レントンがエウレカとニルヴァーシュに与える影響、レントンがゲッコーステイトに対して期待すること、そしてデューイの今後の行動…いずれもこれから先の大きなテーマうになってゆくはずです。











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