以下の考察には、第一話以降の内容を前提としたネタバレ的要素が含まれています
(なるべく控え目にするよう心掛けてはいますが)
楽しみを取っておきたい方は読まないか、読んだらすぐに忘れるようにしてください(^^;
第一話の最後で崖から墜落していたレントンですが、第二話は回想シーンから始まります。
サマーオブラブから5年弱ということですので、レントンは5才前頃ということになります(レントンがサマーオブラブの年に生まれたというのは最終回で明らかになります)。
ダイアンに手をひかれたレントン、おそらくこの時初めてこの言葉を姉から聞いたのでしょう。
(ダイアン) お父さんがね、お父さんが最後に家を出た時に私に言ってくれたの。
「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。」
お爺ちゃんはああ言っているけど、私今もその言葉を信じている。いつかレントンにも、その言葉の意味が分かるようになるわ…
この物語を通じて、様々な人物が重要な場面で口にすることになるこのセリフですが、これが初出になります。
ここで現実に戻り、落下し続けるレントン。
(レントン) ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん…
ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん…
ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん…
3回この言葉を繰り返したところで、覚悟を決めたレントンの目に強い意志の光が宿ります。
その時、手に抱えているリフボードに変化が…

リフボードにはトラパーの上を滑る機能があるため、リフボードからトラパーが噴き出すこと自体は不自然ではありません。描写はなかったと思いますが、リフボードの中にもコンパクドライブが内蔵されているのでしょう。普通の人間がトラパーに干渉するためには、コンパクドライブが必須だからです。レントンは”人と機械を繋ぐ”と表現していましたが、もう少し補足すると”人が機械を介してトラパーに干渉する”ということだと思います。しかし、ただ落ちている間は無反応で、目の色が変わった瞬間に大量に噴き出し始めたのはなぜなのでしょうか?
これは、人間の意志が強ければ強いほど、トラパーも強く反応するとしか考えられません。あるいは、強い意志を持った人の所にトラパーが集まる、と言えるかもしれません。このすぐ後の場面で、マシューがここはトラパーが薄いと言っていますが(実際、レントンもうまくリフできなかったようですし)、その状況にあってこれだけのトラパーが出ているということは、何らかの理由でトラパーが集まっているとしか考えられません。そしてこの場面においては、前回の最終場面での”俺はあの娘の所へ飛んでゆく!”という、ある強烈な意志に、トラパーが応えてくれたのでしょう。そして、
(レントン) あ~~~い~~~きゃ~~~ん~~~ふらぁぁぁい!!!
という、文字にすると非常に間抜けではあるものの、魂の叫びとも言える言葉とともに一度は谷底に姿を消すレントン。
しかし、大量のスカイフィッシュと共に、強烈なトラパーの光をリフボードに纏い、レントンはニルヴァーシュを目指して高く舞い上がってゆきます。
その頃、上空では激しい戦闘が繰り広げられているものの、マシューは劣勢気味。LFOが持っているボードが短くて、スピードが出ないようです。
(マシュー) 駄目だ、リーダー!ここはトラパーが薄くて、ロングボードのスピードに追い付けねぇ。
(ホランド) くっそぉ、援護してくれ、マシュー!俺が突破を図る!
(マシュー) ぉい、まさかCFSを使う気じゃないだろうな?
(ホランド) こんなところで、あいつを失うわけにはいくか!
トラパーの量が一定であれば、もちろんそれを受ける面が広い方がより多くのエネルギーを取り出すことになりますから、トラパーが薄い環境でより多くのエネルギーをとりだすには、リフボードが長い方が有利、ということになります。そしてその状況を打破すべく、CFSというシステムを利用しようとするホランド。CSFとは、LFOのコックピットに表示された文字から見ると”Compac Feedback System”のようです。その時、コンパクドライブに興味深い変化が….

通常緑色のコンパクドライブが、真っ赤に変化しています。結局CFSは発動されなかったので、なぜ赤くなったのかもわかりませんが、単純に考えるとコンパクドライブに高い負荷がかかったということでしょう。CFSがどのようなシステムなのかはこの時点では不明なので、とりあえず先に進みます(最終話近くで再度登場します)。
CFSの発動を思いとどまったホランドの横をレントンが通り過ぎ、続いてスカイフィッシュの大群が通過します。よく見ると…

なんだか一匹だけピンク色のスカイフィッシュが混じっています。
画面を確認した限り、他のすべてのスカイフィッシュは緑色ですし、なんらかの意味が与えられているような気がするのですが、いくら考えてもわかりません。強引に考えるのであれば、レントンの”空を飛びたい!”という想いに反応して現れたのが緑色のスカイフィッシュで、”エウレカに逢いたい!”という想いに反応して現れたのがピンク色のスカイフィッシュなのではないかなぁという程度です。でも、想いの比率で考えるのであれば、もう少しピンクがいてもいいような気がするのですが、命がけのシーンだったので後者はその瞬間は相対的に弱かったのかなぁと。
スカイフィッシュに後を追われてエウレカの元を目指すレントンを見て、ホランドはスカイフィッシュが追随していることに関心を示しています。これは、本話の後半でのホランドの発言に関係しているのだと思います。そしてとうとうニルヴァーシュの近くに辿りついたレントンですが、ニルヴァーシュの風圧に吹き飛ばされてリフボードから離脱、真っ逆さまの墜落を始めます。あわててレントンを追いかけるニルヴァーシュ。

背中のブースターに点火して全速力で追いかけていますが、しっかり補助動力も搭載されているんですね…トラパー自体が動力だと思っていましたが、よくよく考えてみると、トラパーにリフボードで乗るまでは(飛行機から出撃するような場合を除けば)別の動力が必要ですし、車に変形した時は補助動力だけで走っているのでしょう。燃料を補給していたり、燃料切れになるような描写は確かでてこなかったと思いますが、このような動力があるならば、なぜマシューやホランドはそれを使わなかったのかなぁというのが不思議です。持続時間が短いのでしょうか?
コックピットのハッチを開けたところに見ごと飛び込むことに成功して九死に一生を得たレントン、開口一番に言ったのは…
(エウレカ) キ、キミ…
(レントン) できた…本当にできたんだ、カットバックドロップターンが、俺にもできたんだ!
(エウレカ) え?
(レントン) 君のおかげだ、君がいたからできたんだ!君、サイコーだ!俺は、君が好きなんだ!
(エウレカ) はぁ?
(レントン) 君だからできたんだ!君じゃなきゃだめなんだ!俺は、君が大好きだぁぁ!
(エウレカ) 好き?
(レントン) あぁ、だから、俺が守ってやる。俺が、この機体と君を守ってやる!この、アミタドライブで!
自分の命が助かったことよりも、キックバックドロップターンができたことの方がレントンにとっては大切だったようです。ついでに熱い愛の告白もしちゃっています。しかも、戦闘経験においては皆無のレントンが、百戦錬磨のエウレカに対して守ってやると言っています。ハイテンションにもほどがありますよね….
しかし、肝心のエウレカはよく理解していないようです。唐突過ぎるというのを置いておいても、あからさまに”好き”という言葉の意味が分からないというリアクションです。しかし、ハイテンションなレントンはそんなことを気にせず、謎の構えを取ってから”アミタドラーーイブ、セェーーーット、オン!”という恥ずかしい掛け声とともに、アミタドライブをコンパクドライブに装着します。ここで刺さっているコンパクドライブは、もちろんレントンのコンパクドライブです。
一瞬ののち、光が噴き出して、コンパクドライブの中の球形の光が分散し、文字があらわれます。

何気に気になるのが、後ろにある”魂魄”の文字です。少年ジャンプのBleach!を読んでいなかったら、おそらく私はこの言葉は知らなかったでしょうし、この漢字も読めなかったでしょう(^^;
魂魄の二文字の間に、コンパクドライブを意味する三角形が描かれていますが、これはニルヴァーシュの魂は、ここに挿入されるコンパクドライブにあるということを言っているような気がしてなりません。
エウレカは確かにニルヴァーシュを動かしていますが、ニルヴァーシュをコントロールしているというよりは、ニルヴァーシュと一体になることによって動かしているような雰囲気です。エウレカとニルヴァーシュとは同じ造物主の手によってこの世に送り出された訳ですからある意味納得ですが、ニルヴァーシュを完成させるパーツとして、やはり魂が必要だったのでしょう。しかし、ニルヴァーシュの魂はオリジナルのコンパクドライブだけでは不足しており、それがゆえに先にレントンが試した時には動かなかったのではないでしょうか。そしてアミタドライブが装着されることによってニルヴァーシュの魂が完成した = ニルヴァーシュに魂が吹き込まれたのではないでしょうか。EUREKAという単語はもちろんエウレカの名前でありますが、そもそもはギリシャ語の”見つけた”という意味の単語です。この場面で出たEUREKAは、”(ニルヴァーシュが自分の魂を)見つけた”という意味なのかもしれないなぁと思いました。そして、EUREKAという文字に分かれるの前の球形の光は、生まれた魂を象徴しているのかなぁと….また、第一話でレントンのコンパクドライブに出ていた”EUREKA”が横書きだったのに対し、今回は縦書きです。、今回が何か特別な意味を持っていることを示唆している気がします。
しかし、この文字が表示されると同時に小さな悲鳴をあげてエウレカが気を失ってしまいます。これは、ニルヴァーシュに魂が生まれたことで、魂なき自分の体を動かしていたエウレカを本能的に排除したのではないでしょうか。そして、ニルヴァーシュは気を失ったかのように目から光を失い、墜落してゆきます。レントンが操縦桿を取って見るものの、ニルヴァーシュは反応しません。そして迫るミサイル…レントンが14年の人生を閉じる危機を迎えた所で、時が飛びます。
場面は変わって、何もない荒野となってしまった戦場。理由は後で明かされるので、とりあえず進みましょう。
(マシュー) 駄目だ、なーんも残っちゃいねぇ。どこもかしこも塩の柱だらけだ。噂には聞いてたけど、これほどとはね…なぁストナー、リーダーはどこ行ったよ?
(ストナー) あっち。
(マシュー) あぁ、姫の所ね…
”塩の柱”といえば、旧約聖書のロトの妻の話が思い出されます。堕落しきった町、ソドムとゴモラを滅ぼすことに決めた神は、天使を使わしてそれをロトに知らせます。ロトは妻を伴って町から逃げますが、”決して後ろを振り返ってはならない”という天使の忠告を破ったロトの妻は、塩の柱となってしまった、という話です。ポイントは、塩の柱と天の裁き = 天罰とが密接な関係にあるということです。今回の場合、天の裁き = ニルヴァーシュが引き起こした”あの現象”ということであり、その怒りに触れたLFOが塩の柱になってしまった…ということなのでしょう。
姫 = エウレカと、そこに駆け付けたホランドとの会話。
(エウレカ) ホランド?
(ホランド) 無事か?
(エウレカ) うん、大丈夫。みんなは?
(ホランド) ん?まぁ、俺らは無事だが…それにしても、凄まじい力だな…まさか、アミタドライブに内蔵されていた悟りプログラムが、お前の、ニルヴァーシュの力をここまで開放させるとは…
(エウレカ) 違うわ。
(ホランド) ぇ?
(エウレカ) この力を解放させたのは、そのアミタドライブでも、悟りプログラムでもないってニルヴァーシュは言っている。本当に力を解放させたのは、このコの力なんだって…
まず、ホランドがアミタドライブな何であるかを十分に理解していることが分かります。彼が師匠と呼ぶのがアドロックなのですから、それを聞いていても不思議ではありません。悟りプログラムという言葉はここで初めて登場しましたが、アクセルが言っていた”悟りを開く”きっかけとなったのは、アミタドライブに内蔵されていた何がしかであったということだけはわかります。
エウレカは力の解放がアミタドライブでも悟りプログラムでもないとはいうものの、それらが解放の条件であったことはまず間違いないと思います。しかし、本当に最後のカギを握ったのはどうやらレントンだったようです。力の解放については後で出てくるので、ここでは飛ばします。
場面が変わって破壊されつくした修理工場。騒ぎを聞きつけてやってきた発掘屋が現れた所で、ニルヴァーシュがやってきてレントンを下してゆきます。
更に場面が変わって飛行艇の中。ドミニクがここで初めて”セブンスウェル”という言葉を使い、艦長に帰投するように詰め寄りますが、スルーされて高速艇で脱出することに。
そして修理工場に戻り、ソファに寝かされたレントンにやさしく語りかけるアクセルに、エウレカが質問を投げかけます。
(アクセル) まったく、のほほんとした顔で眠りやがって…
(エウレカ) 何で嬉しそうな顔をしているの?この子、すごい無茶なことやったのに…
(アクセル) かもしれんな…だが、こいつがやりおったことをワシ以外に誰が褒めてやれる…世間的には無茶かも知れんが、ワシはこいつを褒めてやるよ。何せこいつは、ワシの家族だからな…
(エウレカ) 家族?
(アクセル) お嬢ちゃんも子供を持つようになればわかるさ。
(エウレカ) 私…
”好き”と同じように、家族という言葉の意味を測りかねているように見えます。最後にエウレカが何か言いかけていますが、自分がこれから登場する3人の子供の母親となっていることを言おうとしたのか、それとも自分には家族がいないことを言おうとしたのか…それはホランドの登場によって分からないまま終わってしまいます。
ホランドとアクセルは面識があるようです。もちろんそれはレントンには内緒だったのでしょう。明らかに知らないふりをしていましたから…ここから二人は長い会話に入ります。
(アクセル) まったく、そうやって毎回お前はワシの生活を無茶苦茶にして行く!とんだ疫病神だ!
(ホランド) 一言だけ、一言だけ言わせて下さい…….ありがとう。
(アクセル) まぁ、何故お前がtypeZEROと共に現れたのか、おおよその察しはつく。二度と顔を出さないと約束したお前が来たんだ。決心したのか?だからここに来たんだな?こうなっちまった以上、ワシらがどうなろうとそれなりの責任を取るしかあるまい。だが、ワシはレントンだけには、ここで普通の幸せを与えてやりたいと思っとる。
(ホランド) 普通の幸せねぇ。あの子がその普通とやらを望んでいるとでも?
(アクセル) いつか、どちらが正しいかわかる日が来る。
(ホランド) だったらなぜ、アミタドライブを届けさせた?何故あんな無茶をさせてまで、あの子に届けさせた?あなたはそんなこと信じちゃいない。いや、本当に信じていることを誤魔化しているだけだ!
(アクセル) 違う!ワシは本気でそう思っとる!お前みたいな宿なしに何が分かるというのだ?
(ホランド) ならどうして!後生大事に隠し持っていた?
(アクセル) あれを生み出したのがワシの倅だからだ!本当はお前にあれを持つ資格はない!ワシ以外に持てるのは、レントンだけだ!ワシゃあ、お前を許すつもりはない。だがな、今はお前以外にあれを託せる人間はおらんのだ!もういい…もう帰ってくれ。
(ホランド) すいません。
毎回…ということは少なくとも過去に数回は実績があるわけですね。おそらくはアドロックの不幸とダイアンの失踪のことでしょうが、おそらくダイアンの時に、二度と顔を出さない…と約束した模様です。しかし、アクセルが言っている”決心”とは何を指しているのでしょうか?ずっと後に、ホランドがある人物から世界の命運を託される場面があります。おそらくはその趨勢に大きな意味を持つアミタドライブを受け取った上で世界の命運をかけた戦いに乗り出す覚悟を決めたということを言っているのでしょう。
そして、アクセルが誤魔化そうとしたと指摘された、”本当に信じていること”とは何なのでしょうか?それは、結局レントンもアドロックが回し始めた運命の歯車から逃れることができない、ということなのではないでしょうか。誤魔化す先が平和な生活なので誤魔化そうとしたのは平和でない毎日、つまりアミタドライブを携えてホランドを待ち受ける抗争に身を投じること、投ざざるを得ない運命にあるということなのでしょうか。
ところで、アミタドライブをアドロックが”生み出した”と言っていますね…前回は”見つけた”と言っていたと思いますが。前回”見つけた”と言ったのが実はニルヴァーシュのことであった可能性もありますが、アミタドライブを引き出しから取り出して手に持ち、それに視線を投げている状態でニルヴァーシュのことを言うということはないでしょう。私としては、ハードウェアとしてのアミタドライブはアドロックが”見つけた”ものであり、搭載されていたソフトウェアである悟りプログラムは、アドロックが”生み出した”ものであるということで納得することにしました。
しかし、この真面目な話を二人が繰り広げている間、エウレカはレントンの頬をツンツン突いていました…

このシーンだけ見ると、すでに恋人同士(しかもバカップル)のよう…
実際は、エウレカがレントンに純粋な好奇心を抱いているだけで、それから出た行動なのでしょうか、これからの二人を予感させる場面です。
最後に目を覚ましたレントン、分からないことだらけで戸惑っているところに、ホランドから一喝。
(レントン) わかんない、わかんないよ…
(エウレカ) えっ?
(レントン) 俺わかんない…父さんがあんなものを作り出した理由も、爺っちゃんがそれを隠していた理由も、何でこんなことになっちゃったのか、俺…俺…俺どうしたら…
(ホランド) それはお前が決めることだ。お前が何を信じ、何を決意するかは、すべてお前自身の責任だ。波を活かすも殺すも自分次第、それがリフをする奴の心構えだろ?
ホランド、渋すぎです…ここでも”信じる”という言葉が出てきますが、前話に引き続き、今回のテーマも”信じること”ですね。
高速艇で離脱するドミニク、どうやら置き土産に情報部のデータベースをユルゲンスに開示したようで、その情報を利用してゲッコー号がベルフォレスト港にいることを突き止めます。そしてイズモ号は現地へと向かいます。
場面が変わって、エウレカが焼き払ったレントンの部屋跡地で、サーストン家の家族写真を眺めるホランド。ダイアンの部分が焼け切れているのは、顔出しは後に取っておきたかったからでしょう。この場面で、ダイアンとホランドとの関係が示唆されています。
(ホランド) 答えなら、もう出ているんだろ?お前は波を信じた。でなけりゃ、カットバックドロップターンなんて出来やしない。結果的に、お前は世界を信じたんだ。そして、それに世界は応えてくれた…ここで止めるのも手かもしれん。その決断もいいだろう。だが昔、俺の師匠は言っていた。ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん…
(レントン) そ、それって…
(ホランド) お前が本当に信じているものは何だ?お前はニルヴァーシュの中で、何を信じたんだ?
(レントン) 俺は…
再び”信じる”のオンパレード。
ここで、”世界を信じた”という言葉が出ますが、のちにある人がエウレカのことを”世界”と表現する場面があります。ホランドは、この時点でレントンが世界 = エウレカを信じていたことを見抜いていて、それを承知の上であえて問いかけを投げたのでしょうか。ここで、レントンの人生終了の危機の回想に戻ります。ミサイルがニルヴァーシュを直撃しようとするまさにその直前、エウレカがレントンを抱きしめながら、やさしく語りかけます。

(エウレカ) 大丈夫、私を信じて…
前回、エウレカは”知らないものは信じられない”と言っていました。つい先ほど知り合ったばかりのレントンは、少なくともこの時点においてエウレカにとって信じる対象ではなかったはずです。しかしここでは、自分を信じろ、とレントンに言っています。ひょっとしたらエウレカは、レントンが自分を信じることによって、セブンスウェルが発現することを悟っていたのではないか、と思わせます。
(レントン) そうだ、これは初めてじゃない。俺はあの時、確かに見ていたんだ...姉さんの肩ごしのコンパクドライブに、EUREKAって文字が出ていたことを…わかんない…わかんないけど、でも、俺は今何となくわかった気がした。あの時、姉さんが何を言おうとしていたのか、そして今、俺が何を信じるべきなのか!
ちなみに、肩ごしのコンパクドライブに出ていた文字も、この場面でも、EUREKAという文字は横書きで出ています。ダイアンとレントンしかいなかった(そしてエウレカも近くにいなかった)その場面でこの文字が出ていたということは、エウレカ本人とコンパクドライブに現れるEUREKAという文字とは直接関係がないということになります。つまり、その時のダイアンとレントン、そしてこの時点でのエウレカとレントンとの間に、何かの共通点があったということを示唆しているのでしょう。そしてそれは、お互いが相手のことを心の底から信じあうことであったはずです。それだけだと他にも条件を満たす人はいるはずなので、やはり片割れがレントンであったことと、持っていたのがオリジナルのコンパクドライブであったという点がポイントになるのでしょう。

そして、虹色の球体?を身に纏った状態でニルヴァーシュは墜落し、一瞬沸き立つイズモ号の人々。そして慌てふためくホランド。
(通信士) typeZERO、ベイルアウト!
(ドミニク) 撃墜?
(ユルゲンス) やったか?
(マシュー) まさか!
(ホランド) マシュー、引け!
(マシュー) どうして!
(ホランド) いいから逃げるんだ!
(マシュー) えぇ?
(ホランド) さっきのチビだ。あのチビッ子が、アミタドライブをニルヴァーシュに届けたんだ。来るぞ…セブンスウェルが!
ホランドは、ニルヴァーシュにアミタドライブが届けられることで、セブンスウェルが発動することを知っていたようです。ドミニクも知っていたことから、セブンスウェル自体は広く知られている既知の現象のようです。ニルヴァーシュから6つの輪を伴った光の柱が立ち、その輪がニルヴァーシュに吸い込まれてゆきます。

公式のキーワード解説ページを見ると、
*セブンスウェル
ニルヴァーシュのサトリプログラムが発動した時に起こる現象。物理法則を超えた力を持つため、ニルヴァーシュは無敵となる。
波のうねりを意味する「スウェル」と、『エウレカセブン』の「セブン」から。
こんなことがあっさりと書いてありますが、これはあくまで名付けとしての意味だと勝手に解釈してみました。この物語に於いて重要な意味を持つ現象なのに、セブンがエウレカセブンのセブンじゃつまらないじゃないですか(^^;
ということで、現象の意味として考えると、”セブン・スウェル”ではなく、”セブンス・ウェル” = 7th wellであり、wellは”湧き出る、噴出する”という意味を、”7th”は悟りを開いた状態という意味だと私は思っています。1番目~6番目が何かといえば、仏教の六道(りくどう)である、”天道”、”人間道”、”修羅道”、”畜生道”、”餓鬼道”、”地獄道”の6つの道のことなのではないでしょうか。六道は、”仏教において迷いあるものが輪廻するという、6種類の迷いある世界のこと”とされていますが、同時に”仏教では、輪廻を空間的事象、あるいは死後に趣(おもむ)く世界ではなく、心の状態として捉える。たとえば、天道界に赴けば、心の状態が天道のような状態にあり、地獄界に赴けば、心の状態が地獄のような状態である、と解釈される”ともあり、要するに六道は心の状態を表す言葉としても使われるようです。
これを踏まえて、”セブンスウェル”とは、心が六道を超越した”7番目の状態”になったことで、コンパクドライブ経由で異常なまでに強烈な働きかけを受けたトラパーが迸るように噴き出すことにより、超常現象を引き起こしているのではないかと考えていました。それでは7番目の状態とは何かというと、この六道を超越して”人間の本能から起こる精神の迷いがなくなった状態”であり、この状態のことを”涅槃”、サンスクリット語では”ニルヴァーナ”といいます。更に別の言葉でいえば、”悟りを開いた状態”なのです。
つまり、ニルヴァーシュがアミタドライブの装着により魂を得て、それに内蔵されている悟りプログラムが発動した結果として、セブンスウェルが引き起こされたのだと…エウレカは”本当に力を解放させたのはレントンだとニルヴァーシュが言っている”と発言していますが、悟りプログラムの発動には、ニルヴァーシュを操縦している人の強烈な信念、もしくは想いが必要なのでしょう。そしてこの時は、後で明かされるレントンの想い(とエウレカの想い)に呼応して悟りプログラムが発動したのだと思います。装着されただけで発動した状態であり続けるのであれば、いつでもセブンスウェル状態になってしまいますからね…
客観的にセブンスウェル現象を見ると、何が起こっていたのでしょうか。
(ドミニク) 何事だ!
(通信士) 撃墜地点より、未確認の粒子検出!トラパー領域、急速拡大!
(ドミニク) これは…まさか…これが、セブンスウェル現象だというのか…
:
(アクセル) まったく…こんなことを引き起こすものを残してゆくお前は、親不孝者だ。あまつさえお前の息子まで巻き込んでゆく…これはワシらを破滅させ、死へと導く光だ…しかし、何と美しい…
:
(通信士) 電磁放射上昇を確認!トラパー領域が反転していきます!
(ドミニク) いかん、モンスーンを後退させろ!今の奴には…
未確認の粒子が何だかはよくわかりませんが、その結果としてトラパー領域が急速に拡大しているとのことです。要するに、間欠泉のように噴き出していたのがトラパーだったということなのでしょう。そして、その後にその領域が反転した、つまり噴き出した膨大な量のトラパーがニルヴァーシュに収斂された、ということなのでしょう。それだけの量のトラパーが収斂されるということが何を意味するのかいち早く悟ったドミニクは、さすが情報士官というべきでしょうか。手遅れでしたが…
そしてアクセルの発言ですが、アドロックとダイアンの肉親であり、ホランドとも面識を持つアクセルは、実はかなり仔細なところまで様々なことを知っていたのではないかと思わざるを得ません。
膨大なトラパーを体内に取り込み、覚醒したニルヴァーシュ。

目の色が黄色ですね。通常時は緑色なのに、です。
ニルヴァーシュの目の色は、ニルヴァーシュを動かしているのが誰の想いであるのかを象徴しているように思えます(最終話により分かりやすいメタファーが出てきます)。基本的に通常時は緑色ですが、ここで黄色に変わったということは、セブンスウェル現象が発現した時は、通常とは別の何者かの意志、おそらくはアミタドライブを得たことで生まれたニルヴァーシュ自身の意志でニルヴァーシュが動いていることを示唆しているような気がします。少なくともこの時は、エウレカは後ろからレントンを抱きしめていただけですし、レントンも気を失っていたようです。そして、すべてが終わったらまた眼の色が緑色に戻っていますし…
鬼神のごとき強さを見せつけるニルヴァーシュ。身に纏っているトラパーは、こちらも通常が緑色に対して赤色となっています。CFSを起動しようとした時のホランドのコンパクドライブもそうでしたが、トラパーの濃度が上がると色が赤くなるのでしょうか。ちなみに、赤色の上は虹色のようです(最終回に登場)。

通常、LFOは敵の斬撃を受けると、あたかも人間であるかのように切り口から血のような液体を出します。しかし、このLFOは何か白いものが切り口から噴き出しています。先にマシューが”塩の柱”と言っていましたが、この状態のニルヴァーシュの攻撃を受けると、塩の柱になってしまうのでしょう。何故かとは思いますが、先に書いたような象徴的な意味以上の意味はないと思います…
回想が終わって再びホランドと対峙するレントン。
(レントン) わかんない…俺…わかんない…けど、あの時、俺はあの娘を助けたいって思った…そしてそのことを、その想いを信じろって、ニルヴァーシュに言われた気がしたんだ。だから俺は信じてみたんだ。信じることで、彼女を助けられるって思ったんだ。それが、その証明になるって思ったから!でも…
(ホランド) 証明かぁ。本当に証明したければ、一緒に来い…
(レントン) え?
(ホランド) それを彼女もそれを望んでいる。
セブンスウェル現象の発現の条件がエウレカとレントンとの思いが一つになることだとすれば、この時はお互いにお互いを助けたいという気持ちで一致したのでしょう。そして、お互いがその想いを信じることができれば、それがニルヴァーシュの力となり、本当にその想いが実現する、とニルヴァーシュが教えてくれたのではないでしょうか。信じることで彼女を助けられる、と思ったレントンの勘はズバリだったわけですね。
先にも述べたとおり、エウレカはレントンが自分を信じることによってセブンスウェル現象が起きることを知っていた節があります。そうでなければ、あのような発言には及ばなかったはずです。ホランドが口にしていたことからも、セブンスウェル現象は広く知られている現象である、つまりこれまでにも確認されたことがあるということになります。セブンスウェル現象を引き起こすのがニルヴァーシュ以外にいるとは考えられない、つまりエウレカが過去にセブンスウェル現象を起こしたことがあると思われるため、少なくとも本能的に、どうすればセブンスウェル現象が起きるのかは知っていたのではないでしょうか。誰と…と言われると、アドロック以外候補が見当たらないのですが…なんにせよ、レントンを助けたい一心で、エウレカもレントンの事を信じてみたのだと思われます。
そして、レントンのことを引き入れようとするホランド。この時点では、ホランドはエウレカに対して複雑な思いを持っていたようです。ホランドは基本的にエウレカの最大幸福を目指して行動しているので、ある意味ライバルになるレントンを引き入れるには抵抗があったのではないかと思いますが、そこはさすがに大人?ですね。
ここでイズモ隊が上空を通過、ホランドがニルヴァーシュの通信機に走ったところで、レントンの手を取ってエウレカが共に行くことを訴えます。

(エウレカ) ねぇ、一緒に行こう!だって…君じゃないと…駄目みたいなの。
(レントン独白) 確かに、女の子にこんなことを言われたのは初めてだった。でも、本当の理由は違ってたんだ、姉さん。俺は、爺っちゃんの代わりに、アミタドライブを守らなきゃいけないって思った。そして、もう一度、この子を信じようと思ったんだ。だから、俺は、その手を握り返したんだ。
”君じゃないと駄目”なのは、おそらくこの時点ではニルヴァーシュなのでしょうが、レントンはそれがエウレカの意志と受け取った模様。まぁ当然ですが…手を握ったのは、この時点でのエウレカの精一杯の親愛の情なのではないでしょうか。人間らしさが一部欠落している所がこれまで強調されてきましたが、それだけにこの仕草は(ニルバーシュのためであったとしても)普通の人が単純に手を握る以上の意味を持っているように感じました。アミタドライブをアクセルから託されたことに責任を感じるとともに、少なからずエウレカの言葉に動かされたレントンは、ゲッコー号に乗り込むことを決意します。
第二話も第一話とともに非常に重い内容でした。
このページの内容も重くなってしまいましたが、まぁ仕方がありません。まだまだ考察が足りていない気がしますが、とりあえず先に進んで、必要に応じて後戻りしたいと思います。
(なるべく控え目にするよう心掛けてはいますが)
楽しみを取っておきたい方は読まないか、読んだらすぐに忘れるようにしてください(^^;


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